本コバブログ:書評「コレクターズ・ハイ」を読んで

「本と、珈琲と、ときどきバイク。」
店主がお送りするブログ。
略して“本コバブログ”

最大10連休にもなるGWも終え、
ダルいカラダの中、
仕事を再開した1週間だったかと。
当店は4連休もいただきまして、
改めてお休みとお出かけの重要性が
身に沁みた連休。
後半は好天にも恵まれまして、
コロナなどなかったかのように、
どこ行っても人で大混雑だったようです。
あと都会だけでなく地方でも
外国人の多さが目立つのが昨今の日本風景。
当店がある静岡県掛川市は
GWだからといってさほど変化はなく、
祖父祖母の家へ孫を連れてくる
里帰りの様子が散見されたくらいでしょうか。
そんなGW明け最初の週末にブログ更新です。
あっという間に日曜の日暮れに
なってしまいました。また新たな週も
一緒に頑張っていきましょーね✊

今回は書評ブログです。
SNS等で出版社や他書店さんが
紹介されてるのをあまり目にせず、
有名どころではないけれど、
これは社会を捉える目として、
良い切り口だと感じる一冊と
出合いましたので、
ここで紹介したいと思います。

紹介したい作品は、
#村雲菜月 先生による
「コレクターズ・ハイ」
2024年2月末発売の新刊です♪
選書中にあらすじを読んで面白そうと
思ったのがきっかけで仕入れたのですが、
著者のことを存じ上げず、若手かな?と思い
よくよく調べてみれば、
なんと僕と同美術大学出身という驚き!
僕よりも10コほど年下の後輩でしたか。。。
ついに同じ美大卒から小説作家が
出てくる時代がキターーー☆
これは推さねば👍
いつか当店にてサイン会や
トークショーを開催できたらと
思う作家さんでございます。
普段は会社員でメインの仕事をやりつつ
趣味&副業で作家業をはじめたとのこと。
専業作家ではないので、
新作の頻度は時間がかかりそうですが、
これからどんな作品を書いていくのか
楽しみな作家さんでございます♪

そんな彼女の新作を今回ピックアップ。
書評とカッコイイこと言ってますが、
なんてことない、備忘録も兼ねた
僕のただの感想と本の紹介になります。
もしこのブログを読んでくださった方が
手に取ることがあったら嬉しいな
という程度のブログになります。
もちろんネタバレなしで、
表面的になりすぎず語りすぎず、
ちょうどよいバランスを狙って、
この本が読みたくなるような
表現を心がけたいと思います。

僕がこの本を仕入れたい!
と選書中に強く思ったのは、
なんせテーマが良いと感じたから。
そのテーマとは、
「推し活」!!

前段として"推し活"について
長めに語らせてください笑

老若男女、現代人なら誰しもが
多かれ少なかれ、大なり小なり、
〇〇好きとか〇〇推しとか
何かしらの趣向を持っているかと。
これは日本だけでなく、
全世界共通だと思いますが、
なかでも"推し活"に焦点を当てたのが本作。
〇〇推しをオタクの域にまで極めし者、
それが"推し活"、、、
もちろんライトな推し活もありますが、
でもその何気なくはじめたライトな活動が
沼への入口なんてことも、、、
おそらく"あるある"かと思います。
〇〇オタと〇〇推しとが掛け合わさり、
オタクの領域にまで深く入り込んだ
もはや趣味を超えた活動…
その人自身の生きざまであり
すなわち人生そのもの。
それが"推し活"です。
今となっては分野が多様化&細分化
されてるので、ありとあらゆるところに
"推し活"しているファン層が潜んでいる。
これは現代の象徴の一つだと感じます。
僕はこの"推し活"にはとても好印象。
ただし!依存しない範囲でね。
というのが枕詞ですが。
仕事とは別に、
「趣味として"好き"を極める」
というのは生きる支えだったり、
豊かに生きることと繋がる気がして、
とても健全なことだと感じます。
一方で、自身や他者を破滅へと
追いやるほど依存性と攻撃性すらある
諸刃の剣でもあるなと。
当事者たちも、わかっていても
推さずにはいられないジレンマと
闘っているようですが。。。
オタクならではの他者排斥の壁も
存在しますしね。
でもその経済効果たるや、
目を見張るものがあります。
(2021年は約7000億円とな!!)
日本経済を回すことに非常に
大きく貢献している面もあるので
改めて日本は国内エンタメの
豊かさ含め、オタクを育成するのに
向いている国なんだなぁと
つくづく感じます。
悲しいかな、世界俯瞰の目線や
海外にまで目が行きにくいのは当然か、、、
そこに関しては話題が
ズレてくるのでまた別途追々。。。

推し活の代表例を挙げるなら、
・アイドル(もはや無数にいますね)
・ミュージシャン
・お笑い芸人
・俳優
・舞台&ミュージカル
・鉄道
・スイーツ
・特定の作品(アニメとかドラマとか)
・コスプレ&コスプレイヤー
・ホスト&キャバクラ
・・・etc.
これに加えて、少数派だけど、
多様かつ細分化された"推し活"も。
・世界遺産
・建築物
・ダム
・マンホール
・神社仏閣
・電柱&電線
・エスカレーター
・ガードパイプ
・公園
・路上園芸
・道ばたに落ちてる片方の軍手&手袋
・・・etc.
もう多数少数関係なく、
挙げたらキリがありませんね。
マニアレベルや極め度の差はあれど、
"推し活"は本当に幅広く、奥深く、
じつに日本人っぽい。
なんなら全国に一人だけしか
活動してない"推し活"もあるくらい笑

こうやって"推し活"を俯瞰していると、
全世界探しても、日本人にその割合が
多いのではないかと僕は感じます。
(何かデータがあればよいですが、
あくまで僕の肌感の範囲…)
海外にももちろん"推し活"は存在しますが、
日本との違いはぜひ知りたいところ。
もっと調べないとわからないので、
このブログでは一旦置いておきますね。
海外と日本とのメンタリティの違いや
同調圧力みたいなものが
影響しているようですが、
また別の話ということで。
日本人はそもそもがオタク気質な
国民性だと日頃から感じている
ところもあって、僕が日々モヤモヤと、
漠然と、考えているテーマの一つが
"推し活"だったわけで。
そんなとき、今回紹介したい
「コレクターズ・ハイ」という作品と
出合いまして、僕の思考のモヤモヤと
ぴったりハマりそうだなぁと感じて、
当店で仕入れようと思ったのでした。

さきほど
敢えて例には挙げませんでしたが、
バイク趣味なんて、
オタクの代表格ですよね。
大きなマスではないけれど、
あなたの町に必ず一人はいるほどに
浸透しているジャンル。
ただ、世間の”バイクが好き”
向かう方向はなぜか一つになりがち。
一つとは言い過ぎかもしれませんが、
非常に幅が狭く、
多様な方向になぜか広がらないのが
"バイク好き"の人たちで。
ほぼ"型"が決まってしまっている現状。
(5/16放送アメトーークのバイク芸人
ぜひご覧下さい。驚くほど皆さんの
見ている方向が狭いかがわかると思います)
細かいところを見ていけば、実に奥深く、
オタク要素が色濃く、魅力的であり、
100人いたら100通りのルールがあるほど
クセ強でこだわり強の人種なのですが、
外から見たらみんな一緒にしか見えない笑
ケンコバさんや福田さん、井戸田さんたちは
もう生きざまにまで、昇華されてると
思いますが(だから番組に呼ばれてる)、
皆が皆そこを目指す必要なんてなくて。
僕はここをもっとマイルドに、幅広く、
優しく丁寧に、若々しく、清潔感ある感じで、
新しい風を入れたいと思っているわけです。
芸能人にその生きざまを見せられちゃうと、
それが正義で、もう多数派になっちゃうわけで、、、
いったん、
ワイルド、革ジャン、ジーパン、メカ好き、
レース好き...などなどを脱ぎ捨てましょう。
と普段から思っている僕は、悲しいかな
結局あくまで少数派な価値観なのです。
なんなら
「"推し活"するための相棒として
バイクは最適なんじゃないか」

とも言いたいくらい。ニ次趣味的な。
好きな仕事やメインの趣味、
各暮らしがありながら、併行して
より一層人生を豊かにしたり、
彩りを加える相棒的役割がバイク。
そう考えているからこそ僕はバイクを
"推し活"しているわけです。
もちろんバイクを主と捉えてもよいのですが、
ちょっと一線を引いた方が
客観視できますし、周りが見えなくなる
オタクにはなりたくないもので、、、
そんな想いで開業した本屋です。。。

少し脱線しましたが、
長々と前段を踏まえまして、
"バイク好き"もひとつの"推し活"
非常に多くの気づきがあったため、
本作をブログにて紹介したいと思いまして。
本題に入ります。

「コレクターズ・ハイ」
まずあらすじはこちら💁

「推し」に人生を捧げること。
その素晴らしい幸福の背後にある
搾取の闇や、理性を失い暴走が
加速していく衝撃的なラストに
共感&恐怖が止まらない!
なにゅなにゅオタクの私、
クレーンゲームオタクの森本さん、
髪オタク美容師の品田。
その愛は一方通行だったはずなのに、
気がつけば歪んだトライアングルから
抜け出せなくなっていて…。
執着の暴走に恐怖する、
衝撃の群像新人文学賞受賞第1作。

(hontoサイトより)

本作を語るには十分な
あらすじかと思います。

"推し活"は一見、
人生を豊かにするし、
生きがいをもくれる素敵な趣味。。。
と捉えられがちですが、
実は深い闇があって、
最初はいいんだけど、
沼にハマっていくにつれ次第に、
「なんで推してるんだっけ?」
迷走しはじめ、
思考力ゼロで新作が出るたびに
お金を使い、情報を追いかけ、
本来、主体性があった趣味活動が、
いつの間にか搾取される側に
変わっていく恐怖。。。
そして同じファンであっても、
趣向やスタンス&スタイルが違えば、
すぐ敵として認定してしまう、
排他的で攻撃性をも持ってしまう歪み。。。
関わってくる人々もそれぞれが
何かしらの"推し活"をしていて、
搾取する側とされる側とがすぐ隣で
共存し合い、すぐ入れ替わるという構造。。。
それらが見事に本作に描かれていて、
"推し活"の魅力が述べられている、
というよりかは、その闇や歪みに
焦点が当たっているので、
ある種のホラー小説でもあるのかなと。
何事もやりすぎ&のめり込みすぎには
ご用心ということなのかもしれません。
でもその"オタクさ"が仕事になった途端、
新発明や革命レベルにまで時代を
進歩させることに繋がったりもする。
表裏一体であり、光と闇があり、
メリットデメリットがあり、人間関係含め、
一体どこまでが沼で、どこまでが健全か、
まるでわからなくなる。。。
そう読者に投げかける内容となっています。

作中にとても素敵な一文がありましたので、
ここで紹介させていただきます。

「好きなものを目の前にすると、
どうして社会の目を忘れて理性を失い、
醜態を晒してしまうのだろうか。」


僕はこの一文に"推し活"の全てが
込められている気がしてなりません。
「のめり込むからこその良さ」
「のめり込むからこその悪さ」とが
両隣で共存し、
いつだってすぐ反転することの妙が
見事に描かれた一文だと感じました。

そんな"推し活"をめぐる人々の
群像劇&ホラーとも言える小説。
各々の視点、考え方、怖さ、
どうしようもない現状、、、
それら諸々が描かれているので、
共感と気づきと発見が
とても多い現代小説でございました。

どうでしょうか。この本の魅力、
伝わりましたでしょうか。
今回はこんな感じでさらりと
締めたいと思います。

毎度拙文ではありますが、
「コレクターズ・ハイ」
紹介させて頂きました。
"推し活"というだけで
いくらでも語れてしまうほど
大変興味深いテーマだと思います。
ぜひ手に取って頂けましたら幸いです。
もちろん当店でも扱っておりますよ〜🤲

今回はこの辺で。
長文読んで頂き、ありがとうございました。

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