本コバブログ:書評「家族解散まで千キロメートル」を読んで

「本と、珈琲と、ときどきバイク。」
店主がお送りするブログ。
略して“本コバブログ”

約一ヶ月ぶりの更新です。
GWの初日となる本日、
夕方の外は小雨。
静かな一日でございます。

先日4/10(水)に
#本屋大賞 が発表になりました☆
改めて、この場を借りまして、
「成瀬は天下を取りにいく」
著者・宮島未奈さん、
受賞おめでとうございます🎉
#静岡書店大賞 も受賞した本作ですが、
ダブル受賞は史上初とのこと🎉🎉
しかも、
前回のブログでは
ノミネート10作を考察しながら、
僕の考える本屋大賞も綴りまして、、、
見事的中🎉🎉🎉
今まで当たった試しのない予想で、
投票に参加して三年目で悲願達成〜笑
別に当てに行っているわけではありませんが、
「自分の面白い」
「全国の面白い」とが
一致する気持ち良さはまた格別なのです。
ただでさえ"少数派"の価値観を持つ僕だけに、
多数派と自分の価値観との重なりには
驚くと同時に、
なかなかに重要な意味を持つはずで。
今回のノミネート10作は名作揃いだっただけに、
なおのことその重みと嬉しさを噛み締めるという…
本作が受賞した理由を改めて、
時代背景とともに個人的に熟考したいなと。

2023年はまさに"成瀬の年"
すべて成瀬に持って行かれたといっても
過言ではないでしょう。発売前から
各書店に配られたゲラがすべてのはじまり。
それを読んだ時に、この零細本屋には
ビビビッと芯にくるものがありました。
「こ、これはっ!タダもんじゃねぇ!!」
と感じた初見です笑
その結果が全国に花ひらくカタチとなって
昇華された喜びはひとしおでございました。
まだまだ当店でも売れ続けていますので、
引き続き「成瀬は天下を取りにいく」と、
その続編「成瀬は信じた道を行く」とも
合わせてよろしくどうぞ〜🤲
宮島さんは現在3作目も執筆中とのこと。
成瀬シリーズはまだ終わりません!!
一番楽しみにしているのは僕なのですよ♪


前段はここまでにしまして、
今回はシンプルに書評ブログになります。
もう来年の本屋大賞に向けて動いているなか、
本屋大賞がすべてではないのですが、
本屋は毎月約6000冊も
刊行される本と日々向き合ってまして、
面白い&面白そうな小説と
出合う機会が当然ながら多い。そして
出合ったのなら、紹介するのが本屋の勤め。
面白い小説と出合う=本屋大賞に直結
という関係なので、
自然と本屋大賞を意識してしまうわけです。

そんななか、
早速面白い本と出合ってますよ♪
今回、紹介したい作品は、
#浅倉秋成 先生による
「家族解散まで千キロメートル」
2024年3月発売のホヤホヤの新刊♪
書評とカッコイイこと言ってますが、
なんてことない、備忘録も兼ねた
僕のただの感想と本の紹介になります。
もしこのブログを読んでくださる方が
手に取ることがあれば嬉しいなという
その程度のレベルのブログになります。
表面的になりすぎず語りすぎず、
ちょうどよいバランスを狙って、
この本が読みたくなるような
表現を心がけたいと思います。

著者・浅倉さんといえば、
2022年の本屋大賞ノミネート作
「六人の嘘つきな大学生」
僕は初読みだったのですが、
就活ミステリという新ジャンルかつ、
社会の切り口がとっても新鮮で
驚いた記憶がありますね。
当時、僕は本屋大賞の投票に初参加の身。
第一位に投票した作品でもあり、
この作品をきっかけに
浅倉さんのファンに
なった一人でもあります。

浅倉さん作品の特徴としては、
物語全体はミステリなのですが、
そのミステリの分野が新鮮なところ。
殺人事件や謎を追うような
一般的なものではなく、
暮らしの中で起こる違和感を
より大きく可視化して
ミステリ要素を加えて物語に
したような印象ですかね。
そしてスゴイのは、
そのミステリ物語全体を通して
大きなメッセージが浮かび上がってくること。
ミステリなので、謎を解決することが
物語の目的かと思いきや、
主旨はそこにはなく、
本題が、この現代社会に蔓延る
謎の当たり前というか、
そもそもの言葉にならないモヤモヤに
切り込んでいくスタイル。
"ミステリ""現代社会の当たり前を問う"
これらを掛け合わせた作風が
特徴の著者というのが僕の印象。
これからの作家人生のなかで
どう成長していくか楽しみな著者だと
僕は感じていますね♪
(偉そうなこと言って恐縮です。。。)

そんな浅倉さんの新作、
「家族解散まで千キロメートル」
ぜひここで紹介したいと思います。

まずあらすじから、

実家に暮らす29歳の喜佐周(きさ・めぐる)。
古びた実家を取り壊して、
両親は住みやすいマンションへ転居、
姉は結婚し、周は独立することに。
引っ越し3日前、いつも通りいない父を除いた
家族全員で片づけをしていたところ、
不審な箱が見つかる。
中にはニュースで流れた
【青森の神社から盗まれたご神体】に
そっくりのものが。
「いっつも親父のせいで
こういう馬鹿なことが起こるんだ!」
理由は不明だが、父が神社から
持ってきてしまったらしい。
返却して許しを請うため、
ご神体を車に乗せて青森へ出発する一同。
しかし道中、周はいくつかの違和感に気づく。
なぜ父はご神体など持ち帰ったのか。
そもそも父は本当に犯人なのか、、、?

(hontoサイトより)

あらすじを見るに、
明らかにミステリ要素が
強いことがわかります。
しかもその謎が独特で笑
めちゃめちゃ気になる!
この謎解きだけでも読みたくなるのに、
読了後、印象がガラリと変わる
傑作でもあるのです。
タイトルの意味もじわりと沁みてくる妙。
僕がこのあらすじ以上に
何か補足を語れる要素はなくて、
追記するなら、
「事件を通して、家族の絆を確かめ合い、
再生する、、、というような
ステレオタイプを想像したあなた!!
全く異なる展開になるので、
ぜひ愉しんでいただきたい。」

に尽きますかね。

そして、
特に強いメッセージ性を感じたのは、
「この日本に蔓延る
"結婚"や"家族"という"型"というか、
それによる"呪い"や"縛り"に対する
無意識の常識へのアンチテーゼ」

でもあります。
読了後、
純粋にミステリを愉しむもヨシ、
物語全体を通したメッセージ性に
強く共感するもヨシ、
自分ごととして新たな発見に繋げるもヨシ、
逆に何もヘンとも疑問とも思わないもヨシ、
まさに本の醍醐味とも言える
豊かな読書体験を味わえる
一冊となっております。

いつもはもっと長文になりがちですが、
今回はスッキリとこの本の魅力の上澄みを
伝えられたのかなと。
あまり語りすぎるのも
野暮な作品でもありますので、
この辺にしときます。
そんな感じ?で
「家族解散まで千キロメートル」
紹介させて頂きました。
もしこの拙文のブログをお読みの皆様、
ぜひ手に取って頂けましたら幸いです。
これは来年の #本屋大賞2025 候補に
じゅうぶんなりうる一作となっています。

それでは今回はこの辺で。
皆様、GWを引き続きお楽しみくださいませ。
読んで頂き、ありがとうございました。

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