本コバブログ:とはずがたり「祝☆2周年!」

「本と、珈琲と、ときどきバイク。」の
店主がお送りするブログ。
略して“本コバブログ”。

今回のブログでは、
この2023年11月6日(月)をもって
当店は開業2周年を迎えます🎉
2年目を振り返りながら
よしなしごとを綴りつつ、
この小さな本屋の日々や、
僕の思考でも
垂れ流そうかと思っています。
たった2年、されど2年。
キツくもあり、楽しくもあり、
皆様に支えられ、助けられた2年。
毎度当店をご利用ご来店ご愛顧頂きまして
誠にありがとうございます!
静岡県内に留まらず県外からもひいきに
注目して下さったり、
不思議なご縁に日々感謝です。

今回のブログを書くにあたり、
2ヶ月ほど前からコツコツと少しずつ
書き連ねております。
徒然なるままに迷いながら
例によってめちゃ長々と綴ってますので、
雑多な内容に右往左往するかと思いますが、
どうぞお付き合い頂けますと幸いです。
読み終えるまで何分かかるかなぁ、、、
噛み締めて読むと40分くらい?苦笑
ベットサイド等ゆったり気分のときに
読むのがオススメかも。。。

当たり前ですが、
2年目は1年目よりも
あっという間でしたねぇ。

この2年目となる1年間を
振り返ってみますと、
・工場勤務を始めた
・やむなく営業時間の変更
・ズミさんのラジオに出演
・開業の思いを寄稿した本が刊行
・NHKに出演
が挙げられるかと。

工場勤務に伴い、
平日の営業時間変更は
やむなしとはいえ苦渋の選択でした。
悔しくありながらも、
2年目も実にご縁に恵まれた
一年間となりました。
それでも果たして本屋として
成長できているのかどうか、、、
経営数字上の視点で言えば、
依然として目標の1/10という
低水準をキープしたまま。
工場勤務により、
本屋の営業時間が減ったこともあり、
ますます低迷中。
客ゼロの日なんてざらです。
少しずつ周囲に認知されてきている
という実感を得つつも、
経営上の成長はまるでなし。
恥ずかしくも情けなくもあり、
放っておけば
本屋という小売業の厳しさ、
自分のやろうとしていることへの懐疑、
自己嫌悪や自己肯定感低下という
ネガティブな大荒波に
あっという間に飲まれてしまう。
本屋として、暮らしとして、
数字で見れば最低水準。
温かいお客さんに囲まれて、
人間的に見れば豊か。
という真逆の実情でございます。
ただただ、
日々の本屋の営みの豊かさ、
楽しさだけが財産となっています。
これだけ厳しい状況に立たされてもなお、
諦めない&辞めないでいられるのは、
ご利用のお客様一人一人の
おかげに他なりません。
加えて、
「自分が正しいと思うことを
信じてやりきってみよう」

我慢続きの前職時代だっただけに
"自分を生きよう"と決意した
自分を裏切りたくはない。
その一心でございます。
ある意味、自分で自分に
"呪い"をかけたようなもの笑
でもそれが糧というか
力の源に繋がっています。

さらに言えば、
妻の助けもかなり大きくて、
妻がいなければ、
120%でとっくに閉業しているはず。
でも妻は、
僕が本屋をやっていることに対して、
理解があるわけでもないし、
応援してくれるわけでもない、
労いもない、
それこそ興味もない。
そもそも”本屋の会話”はゼロ。
あくまでドライです。
それでも一緒にいてくれて、
夜の工場勤務のために
毎日お弁当も作ってくれて、
生活の補填もしてくれています。
妻へは頭が上がりませんで、
本当に感謝しています。
せめて、
労ってくれたり
背中を押して欲しいと思うのは
傲慢ですかね、求め過ぎか。。。
僕が勝手にはじめたことですし。
私事ではありますが、恥ずかしながら
一緒に暮らしているのに
心の孤独感は拭えませんね。。。
さておき、
本屋として、
僕個人(フリーランス)として、
少なくとも現状の3倍ほどまでは
経営の成長をしないと、
妻の負担を減らしてあげられない。
生活レベルの底上げもできない。
本屋を辞めるという選択肢だけは
したくないなかで、そんな覚悟で
足掻き続ける日々は続きます。
改めてご支援ご協力のほど、
何卒よろしくお願いいたしますm(_ _)m

そうやって
悶々と思考するなか、
今年は僕にとって
初めての大きな出来事が3点。

まず1つ目、
僕の大好きなラジオ番組、
平日毎朝放送されているズミさんこと、
高橋正純さんのラジオ #モーニングラジラ の
1コーナー #マスタートーク にて
電話で生出演が叶ったことです❤️
前職時代、毎日聞いていたラジオに、
まさか自分が出演する機会が訪れようとは
一体誰が予想できただろうか、、、
出演依頼が来たときに、
思わずブルッと武者震いしましたね。
ただ、実際出演してみた感覚なんですが、
トーク内容は散々で、言いたいことが言えず
突っ散らかってしまったかなと。
正直、失敗したなぁ〜と思っています。
ズミさんとのコミュニケーションが
ぎこちなかった感は否めませんで、
ぜひリベンジしたいところ。
それが理由かはわかりませんが、
「ラジオ聞いたよ〜」でご来店された
お客さんは僕の知る限りでは
今のところ、片手で数えるほどしかいません笑
直接対面ならまだよかったかも。
生電話が難しかったのかもしれませんね。
それでも憧れのラジオ出演が叶ったのでした。

そして2つ目、
当店開業の思いを寄稿させて頂いた
本が刊行されました♪
しかもお重版もかかるという
奇跡にも恵まれまして。
個人書店を営む22名の店主が
それぞれの日々を綴った
本屋、ひらく」という本。
まだまだ当店でも扱いますので、
拙文ですが手に取って頂けますと幸いです。
個人書店業界全体が盛り上がりますので、
何卒ご協力下さいませm(_ _)m
僕にとっては単行本へ初寄稿になりまして、
工場勤務から帰宅後に夜な夜な
文章を書いていたのを覚えています。
出版社 #本の雑誌社 さんには
感謝しかありませんで、
よく当店にお声かけいただいたなと。
当店ではもう10冊も売れています♪
零細本屋で同じ本が何冊も売れる
ということ自体、奇跡に近い。
しかも2ケタ目突入〜。
引き続き扱い続けますよ!

最後3つ目、
これはなんといっても
NHK静岡に出演したことでしょう。
町の個人書店に焦点を当てた
#まちほんTRIP というコーナー。
8分という長尺で扱って下さいました。
過去に新聞、ラジオ、TV等、
メディアにいくつか出させて頂きましたが、
今回が一番反響が大きかったです。
かといって客数が増えて、
本が売れるかというと、
それはまた別の話で、
社会認知度がほんの少し
上がった程度かなと感じるところです。
それでも当店としては大きな進歩。
NHK静岡の取材スタッフの方々の対応が
とても丁寧で好印象だったこともあり、
当店を潰さずにしぶとく生き残れるよう
頑張らねばと励まされたのでした。

この一年間は以上の3つが
大きな出来事だったわけですが、
どれも不思議なご縁です。
普段、SNSで本の紹介や
ぼやきなどを呟いているわけですが、
フォロワーの数なんてたかが知れてて、
いいね👍も全然つかない。
それでもどこかの誰かに
届くと信じて続けている。
それが結果として、
各メディアの方々に目に留まるという
奇跡に繋がったのです。
やはりSNSの力はスゴイなぁと。
加えて、地方の零細本屋は
常に「お店やってます!」と
手を挙げ続けないと
すぐ忘れられちゃうということもあり、
かなり面倒くさいことなのですが、
マメにアップすることは大事だなと
身をもって感じるところです。
加えて、
これは僕個人のスタンスでもあるのですが、
SNS上で
お店としてカッコいいところだけを
見せるつもりはありませんで、
本の紹介はもちろん、
僕個人が考えていること、
日々の本屋のぼやきや
客ゼロの情けなさ、
僕自身の経営力の弱さ含めて
さらけ出すようにしています。
そういうところも全て含めて当店であり、
結局はお客さんに応援してもらって、
助けていただかないことには
成り立たないこともあって、
"情"や"共感"に訴えかけることしかできず、、、
人間臭い感じをSNSで垂れ流しているわけです。
当然、"客が少ない"ことを呟くべきでないとか、
さまざまな賛否両論あるかとは思いますが、
僕のスタンスとして、カッコつけず、
周りから良く見せようと飾ったりせず、
背伸びせず、外面だけの仮面をつけないこと。
自分らしく"これでイイじゃん"という
スタンスで営むことにしています。
なにせ、僕自身がデキた人間ではなく、
いびつで、価値観に偏りがある性格。
見栄やプライドを張ることだってある。
それら含めて、自覚した上で、
とにかく自分にも人にも
"正直な店"であり続けたいと
そう思っています。

もしお店を開業しないままだったら
僕個人の性格としては、
SNSなんて全然やらないタイプで笑
ほぼお店のために
SNSをやっているようなものでして。
元々僕は人見知りだし、口下手。
情報の発信受信についても興味がなく、
黙々と目の前の事を進捗する職人気質。
会話しなくても生きていけるタイプです。
話しかけられるのも苦手で、
できることならなるべく
人と関わりたくはない。
その割にはなぜか子供時代から、
人前に立って発表したり説明したり、
プレゼンしたりする機会は
人よりも多かったように思います笑
(おそらく人から見た自分と
自分から見た自分にズレがあるのかなと)
ショック療法?のせいか、今では
苦手意識を感じないまでに成長笑
(避けたいは避けたいんですけどね)
そして、
関わる人が増えれば増えるほど
トラブルしか起きないのを
痛感してるところもあるからか、
正直、人間が嫌いなところもありまして。。。
今だに戦争しているのが人間ですから、
人の根本的性質は昔から変わっておらず、
集団になればなるほどトラブルは
発生しやすい。それこそ
小さないさかいにはじまり、
国家間や宗教間の見るに耐えない
争いごとまで日々辟易してます。
その愚かさを常々見せつけられますね。
ただ、そのまま人が嫌いだと、
人と関わりたくないと、
自分の殻に閉じこもっていては
"俺ダセェな"と思うところもあって。
その一方で、人の可能性を信じている
自分もいて、人と関わりたい、
一緒に成長したいという思いもあって、
相反する感情を持ち合わせているという
不思議な状態。
全ては「こんな自分イヤだ、ダセェな、
(自分にとって)カッコよくねぇな、
理想の大人になるんや!、、、」

みたいな自己嫌悪こそが前を向く原動力
なっている気がします。
そして、
それらを成立させるためか、
会話をするスイッチとか、
仕事をするスイッチとか、
読書するスイッチとか、
食事をとるスイッチ、
何事も"スイッチ"を入れて
脳や気持ちをいちいち切り替えないと
何もできないタイプなんですよね。
放っておくと全く喋らないしズボラなんで笑
突然喋りかけられると「えっ!?あっ!おぅ」
みたいに全然対応できなかったり笑
それは一重に
そういう"スイッチ"が入っていないから。
が故にマルチタスクなんて元々向いてなくて、
同時に一つのことを一つだけしか
できない不器用人間が本来の自分。
今では社会人スキルも上がり
だいぶたくましくなり、
瞬発力も高くなったのですが。
そんな元々の自分の性格と、
いろいろと歳を重ねた自分と、
社会人としての自分と、
本屋としての自分と、
その他いろんなことに左右される自分、
そのどれもが一つの自分の中で共存している。
"本当の自分"なんて
自身でもまるでわかってないわけで、
これからも当然変わっていくだろうし、
人生を通して"自分をつくる"
成長の日々は続いてゆくのです。
そんな自分を形成することに
大きく貢献しているはずの本屋としての自分。
世間的に見ればまだまだ若造。
会社員だったなら、
バリバリのリーダー的ポジションで
脂がのってる年齢になるかと。
出世街道を外れた自分が
今後どう成長していくのか、
どう味わい深い人間に熟していくのか、
自分でも見ものだと思っています。

なんだか
自分語りが過ぎるな、イタい奴みたい。。。
恥ずかしくも言葉で残してみました。

そんなこんなで
引き続き、SNSにてマメに、
#本のご紹介 などなど頑張りますよ!
まぁ地方の零細本屋では
なかなかイベントもできず、
それしかできないという事情もありますが💦


ここから話はどんどん脱線します笑

さて、
ここで少し話題を変えまして、
最近の本屋の動向の話。
さきほど紹介した
本屋、ひらくについてです。
本著にも書かれているのですが、
昨今、
ムーブメントの一つでもある、
個人書店がじわりじわりと
増えている話をよく聞きます。
当店もその一人でしょう。
かたや
一般書店の閉店が相次ぎ、
長年続いてる個人書店も、
後継者がいないことから
閉店していくのも散見されますね。
それもそのはず、
規模に関係なく、本屋という
小売業を経営するのには
限界が見えていると僕は思っています。
この先の未来、
本の需要が爆上がりすることは
まずないはずで、その流通システムや
利益構造を改革しない限り、
正直なところ、
今後ますます本屋は減っていくだろうと。
誰にでも開かれているはずの本という存在が
ますます嗜好品、
完全な趣味贅沢品になりつつある。
本の価格アップとも相まって、
ますますその扉は遠のくばかり。
本を読む&触れるどころか、
実店舗で紙の本を売る意義そのものが
時代にフィットしなくなるのかもしれない。
もう既にフィットしていない感すらありますね。
それがどれだけ美しい商いだとしても。

たった2年ですが、
僕も本屋経営の難しさは
日々痛感してまして。
考えれば考えるほど、
業界に対してどうしても明るい未来を
想像しづらい現状に行き着いてしまいます。
ここまで考えて、ふと思うのです。
となると、今後残っていく本屋というのは
各店主の熱量にかかっている
のではないかと。
そんな状況の今でも
本屋だけで暮らしが賄えている
個人の本屋さんもちゃんといるわけで、
これは本当にスゴイことなんです!
僕としてはもうリスペクトしかありません。
そういったお店の店主の方々は、
本屋という商売を知り尽くした
ノウハウもあるだろうし、
店主自身の人柄もあるだろうし、
各店それぞれの工夫もあるだろうし、
店舗の立地もあるだろうし、
どうやって知名度や人脈を
つくったかもあるだろうし、
さまざまな総合力の賜物。
何より店主の、本屋にかける
"想い"が強い
ように感じます。
それが信頼感に繋がっているのだろうと。
全く同じように真似たとしても
そのようにならない妙もありますし。
ホンマに凄いことなんやぞ、、、
それ以外の個人書店は+αの兼業などで
なんとか生活をやりくりしている
状況かと想像します。
当店はまだまだ"本屋"として
社会から認知されてない現状だけに、
逆に"本屋"と呼ばれるようになれたなら
本屋としてまず一人前、
ということだと捉えています。
当店は間違いなく静岡県で
最も小さい本屋になります。


そんなに厳しく難しい状況でも
個人書店の増加という昨今の流れ。
一体どういう意味合いがあるのか。
なぜ今、本屋を開こうと思うのか。
時代背景が作用していると考えますが、
一層長文になるのでここでは省きます笑。
少なくとも「本屋、ひらく」では
各店主のメッセージにはじまる、
"匂い""熱量"が感じられるかと。
まさにそこを味わって頂きたいですね。

僕の場合だと、
本屋を開いた想いとしては、
本著に書かれていることと
少し異なるかもしれませんが、
素直に言いますと、
僕自身が"本が好き"だから
というわけでも全然ないし、
実は"本屋文化を守りたい"わけでも
"読書の良さを伝えたい"わけでもなくて、
結果的に本屋をやっている以上、
貢献していることにはなるのですが、
僕が見ているのは、
本屋や本の向こう側にある
人の可能性
に目を向けています。

"人を育てる"”人に寄り添う”という
視点が現代社会では大きく
不足していると感じています。
どうすればこの不足を
補える場所をつくれるのか、、、
そしてそれは学校教育のことではなく、
「自分自身が何をしたいか」を探す
主体性や感性、好奇心、熱量
磨ける&育めるような分野のこと。
”教育”とか”学び”という
硬い括りのことではなくて、
いかに"遊ぶように学ぶか"
"楽しみながら自然と身につけるか"
みたいな「遊びや娯楽」がベース。
その結果、
"自分を生きる"とか
"この社会を豊かに生き抜く"といった
価値観に繋がるという考え方。
この不安な現代社会においては
これらの感性が
とても大切だという感覚がありまして。
そしてそれは、
現代日本人が最も育ちにくい
分野の感性
ではないでしょうか。
僕は、
そういった感性を育てるのに、
"バイク"が最適だと考えています。
(なぜバイクか?については過去ブログ参照)
その仮説の元、それを体現するために
いろんな世界の"扉"と繋がっている
"本屋という場所"
を通して
「バイクって何かイイかも」
「バイクに乗ってみたいなぁ」
「バイクで⚪︎⚪︎してみたいなぁ」
「バイクって素敵ね」みたいに
主体的に何かを掴もうとした先に、
バイクと出逢うのがベスト
だと思ったから
"本屋"という商いを選択したわけです。
さらに
当店の珍ポイントとしては、
バイクをこれだけ推しているにも関わらず、
わかりやすい直接的なバイク関連本が
かなり少ないという異色なところ。
バイクというモノを、
ワイルドさを主張するものだったり、
ハードボイルドを演出するものだったり、
乗る技術を競うものだったり、
メカを全面に押すものだったり、
非日常を促すものだったり、
エキサイティングな刺激物として
うたいたくないという信念がまずありまして、

「バイクは暮らしに寄り添う民藝品。
人間の本来の豊かさを取り戻し、
感性を磨ける、人間が生み出した
最も美しい工業製品」

というのが僕のバイクの捉え方。
なので当店は、
従来のバイク好きや、
ライダーの溜まり場みたいな
好きな者同士の内輪感、
よそ者が入って来にくい
閉鎖的な空間には
絶対にしたくないという思いがあります。
老若男女全方位に向けて、
バイクを知らない方々に向けて、
婉曲的ではあるけれど、
その魅力を確実に、着実に、
伝えようとしている場所
というのが当店の本懐。
そうやって素敵なライダーを
一人、また一人と増やしていきたい。
日本のバイク文化に貢献できる
本屋であれたらとそう願っています。
なので、こだわりも強く、
一般的には小難しく、
わかりにくいことを
やっている自覚があるので、
選書の明確な意図はあれど、
あまり細かく説明しないようにしています。
ご来店されるライダーの方々、
本や本屋好きな方々が、
皆それぞれに何かしらの意図を
感じ取って下さるというのが
僕の隠れたニヤニヤポイントなのです。
そうやって
自然とバイクと出逢うかもしれない
結節点を演出している
わけです。

「人を育てる本屋という場所で、
バイクとの出会いの背中を押すことで、
"自分の人生を豊かに生きること"に気づく
エンターテインメント施設」


当店はそういう文脈&目的を持った場所と
いうのが存在意義になるかと思います。
改めて"なぜバイクか?"については
過去ブログでも語ってますので、
気になる方は覗いてみて下さいね。


結局
当店の思いを語れば
永遠に語れてしまう笑
話を戻しまして、
個人書店の増加についてです。
全国各地、個人書店が増える
嬉しさはあれど、じつは
手放しで喜べないところもありまして。
僕自身もまだまだ新参者で、
本屋として
自立できているわけではない。
そんな僕が
何を語ってんだという話ですが。。。
恐縮でございますm(_ _)m

本屋という小売業は、
ほぼ負け戦確定の職業で、
全然儲からないし休みはない。
そんなことは
始める前から重々承知のはずで、
"なぜ本屋を選択したか"という
熱量、動機、覚悟
とても重要だと考えています。

・やってみて失敗したら
また違う道を選べばいい
・まずやってみることが大事
・本好きだし

この考え方と行動力は
どの分野においても
とても大事だと思うのですが、
本屋に限っては
この通りではないと僕は考えていて、
じゃあ
「本や本屋が好きだから」という
最もシンプルな理由だけではダメなのか。
と問われれば、
「その動機だけで動けるならやってごらん。
まずうまくいかないから」
という答え方もできるし、
「その動機だけでは必ず壁にぶつかるから、
オススメはしないよ」
という答え方もできる。
僕自身も先輩本屋さんへ
本屋開業の相談に行った際、
皆さん口を揃えて真っ先に
「オススメしない」
言われた経験もあります笑
それでも開業の壁を超えた今、
僕自身も身をもって
"オススメしない"と言いたいのが
まず前提にはなるのですが、
"それでもやりたいんじゃ!"という
自身を突き動かしている
「原動力」がどこにあるのか。
そこに今後の全てが掛かっているのでは
ないかと思うのです。
そこが腑に落ちている方は
ぜひ本屋開業ウェルカムです!
新しい扉が待っていますので、
ぜひオススメしたい職種に
急転するという妙。
主体性ある一大決心は、
心から応援したいものですね。


なぜここまでオススメしないのか、
短絡的な動機についてなぜ懐疑的なのか。
というのも、
本屋としてのやりがいや
その町や周囲にもたらす効能は、
即効性や効率化で計れないものが
詰まっていると思うから。
目の前の数字を追っているだけでは
とてもやってはいけない職種だからですね。
もちろん、
開業時に店舗立地条件等、
なるべくリスクは
潰しておきたいところですが。
本屋という客商売は、
"社会性を育む"
"人を育てる"
”主体性や好奇心を磨く”
"人を軽視しない"
"人に寄り添う"
"自分や他者に寄り添う"
"人の可能性が花開くのを待つ"
などなど多くの恩恵が得られる場所。

そして、
これらの効能は一朝一夕で成果が
出るものではなく、
少なくとも10年単位で
時間がかかるもの。
しかも時間がかかったからといって、
本当に人が育つかどうかは、
誰にもわからない。
お金にも換算できない。
まさに、本を通して
目に見えないものを売っている職業。

(本当は本の値段以上の価値が
あってもおかしくないとさえ思います)
となると、
「何のために本屋をやっているか」
芯がないと永遠に報われない職業と
言えるのかもしれません。
効率化、合理性、需要と供給、
経済を高回転で回す、人に任せる、
代えがきく、安定性がある、、、など
資本主義とは全く異なるアナログな商いかと。
改めて、
ここしばらくは
個人書店増加のムーブメントは
盛んになるとは思っていますが、
これから開業しようとしている
未来の店主の皆様へ向けて
「なぜ本屋を選択したか?」を深く深く
自問自答してみると良いかもしれません。
悩んだ時の一つの道標になり得るので、
言語化して残しておくことを
強くオススメします。

泥臭い話になりますが、
先日、プロダクトデザイナー
#秋田道夫 さんが
SNSで呟いていた言葉、
「続ける覚悟より、続く工夫。」
とありました。
グサッときましたね。
イタイ所を突かれた気がしました。
僕は過去のブログや今ブログでも
「続ける覚悟」こそ綴ってきましたが、
「で?どうやって続けんの?
生活できんの?」
という
続けるための工夫が弱すぎる。

僕が本屋を続けるためにしている工夫を列挙すると、
・SNSにて日々、本の紹介をする
・ある程度の収入源確保のため工場勤務の並行
・通販やブログも駆使し認知度拡散

たったこれだけ。。。
人脈ゼロ、実績ゼロの
異業種からの挑戦だけに、
もっとやらねばならん事があるはずで、
ここに手腕不足が露わに
なっている自覚があります。

良い例に挙げたいのは、
芸人たちがとにかくネタ書きまくって
1日に何ステージも出て、
ハードワークで勝負する姿。
そのハードクリエイティビティと
タフさを見てると、
"俺、まだまだやん!"だと思い知ります。
業種もそのステージも違うし、
単純比較するものではないけれど、
僕がデザイナーを目指してた頃の
無尽蔵の体力とその狂気性や、
何百何千と千本ノックのように
アレもダメ、コレもダメとアイデアを出し続け、
ダメ出しもされ続け、
絵を描いてきた感覚と似ているのかも。
そうして晴れてデザイナーになれて、
社会人になって一層厳しい
クリエイティブにも耐え抜き、
いつからか油も乗り、
あらゆる理不尽に耐えるタフさを
兼ね備えていた若い頃。
芸人たちを見てて、
僕ももう一皮剥ける必要をヒシヒシと感じるし、
尻を叩かれているような感覚さえある。
でも若い頃と違って、
ただがむしゃらにやればいいわけでもないし、
周りと同じことやってても
長続きはしないとも思う。
そんな芸人さんの頑張りを見てると、
自分に何ができるのか、何がしたいのか、
常に問われている気がして。
本屋をやって、
生活のために工場行って、、、
ハッキリ言ってこのままでは未来がない。
本屋は僕が魂を込めて始めたことなので、
ライフワークとして機能させつつも、
僕の次なるステージを5年目までには
何かしら+αを
芽吹かせねばならないと悶々とする日々です。


2年、たった2年なのです。

成人のカラダは約2年半で
体の細胞が全て入れ替わるそうです。

個人書店もそれになぞらえるなら、
この3年目となる年に、
本屋として初年度からの細胞が
全て更新されるんだろうと。
それもこれも毎日の積み重ねの延長上の話。
一日単位だと変化に気づきにくいけれど、
振り返ってみてはじめてわかる、
開業した頃よりかは確かに
着実に更新されているはずで、
それが当店で言うところの
"成長"なんだろうなと。
商売してるんだけど、
全然商売してないや。。。
その代わり、
目に見えない細胞が更新するように、
本屋を通して、
"自分という人間を成長させてる"
"本屋もろとも自分を生きている"

という感覚ですかね。

3年目も引き続き、
精進して参りますので、
ご支援ご愛顧のほど、
よろしくお願いいたします。



ここからはさらに余談です。
昨今の時代を捉える切り口として、
一つ気づいたことがありまして。

あくまでこれは私見なので、
辛口コメント寄りではありますが、
賛成でも否定でもなく、
ただただそういうふうに
捉えられるのではないか
という視点の話です。

最近、マンガ、アニメ、ラノベの類で、
特に引っ掛かっていることがある。
現代の傾向なのかもしれないが、
"モノローグ"が多い作品が多いこと。
"なろう系"ラノベに特に多い印象ですね。
その原作がベースで
コミカライズやアニメ化にも
繋がることも多い超人気分野ですよね。
そこに出てくるモノローグなんですが、
思考というよりかは
完全に"独り言"という点が気になる。
対して実際の会話内容の薄さたるや。
言葉が一方通行なわけです。
演出上の作為もあるかもしれないけれど、
かなり気持ち悪いなぁと。
これを変だと感じるのは僕だけだろうか?
本来口に出して言うべきだったり
言った方がいいはずのことを
モノローグにして相手に伝えずに、
どうでもいいことばかりを口に出す、、、
まるで政治家やないかっ笑
現代社会を反映したかのように、
コミュニケーションの
難しさが露呈したような。

創作上の世界とはいえ、
著者自身の性格なのか、
コミュニケーション苦手感が
滲み出てているような。

乱暴な言い方かもしれないけれど、
これでよく物語が成立するなぁと
正直思ってしまいます。
逆に成立してないとも感じ取れるけど。
人の気持ちを想像することが苦手な人が
創作しているのだろうか
とさえ。
または、世の中や人間というものを
本当にそういう風に捉えているのか。。。
でもそれら作品に世界中の多くの人々の
共感
が集まり、日本の一大エンタメとして
もはやビッグビジネスに
繋がっているという事実。
それだけ現代人はコミュニケーションに
苦手意識があり、不器用ということの
裏返し
なのかもしれない。
そんな人ばかりが社会に溢れてくるとなると、
それはそれで問題で、
政治家の問題発言にはじまり、
あらゆる齟齬が激化することにも
拍車がかかるような、、、
大人になってからこそ必要なのは
"想像力"だと #金原ひとみ さんは
著書の中で描いておられましたが、
まさにその通りだと僕も思っています。
自分以外への想像力、
自分自身への想像力、
人や世界と繋がるための想像力、、、

これらはやはり"なろう系"からは培えない
ということなのかもしれません。
現実と向き合うことよりも
いかに現実から逃げるかを促進させるような。
もちろん全ての作品でではないし、
"何も考えずに読めるからラノベはいい!"
"だからこそライトノベルなんだ!"
外国人のコメント見てますと、
"人種差別が描かれないからいいんだ!"
なんていうコメントもあったり。
ストレスフリーで読めることに対して
かなり大きなポジティブを
読み手たちが抱いている印象
を受けます。
一方で
一般小説で描かれているような
あらゆる人間描写、会話劇、
感情描写など、言語化の密度の数々、、、

これらとはやはり一線を画すわけで。
一般小説は、洗練されたリアル表現だけに
読むのも疲れるし、心が動かされます。
ハードルの高さを感じるのもわかります。
結局、ラノベと一般文芸との、
お互いの領域の乖離が
どんどん開いていくばかりで、
なかなか交わらない気がしてきました。
どちらがいいという話でもないし、
もはや別世界として
両者が永遠に歩み寄らない感じ。
でも両者ともに
現代を映す鏡だと感じた次第。
ラノベはラノベで鏡なのだけれど、
それは描写力のことではなく、
疲弊した現代社会からの
逃避的ポジションとしての需要

なんだろうなと分析したのでした。

ラノベは
非現実で理想の自分を想像する目
一般文芸は
現実を疑似体験しリアルを想像する目


両者の違いはこんな感じ?
僕自身の価値観だと、
やはり一部のラノベは
違和感しかなくて、
どれだけ人気があろうが、
多数派だろうが、
自分のモノサシに照らし合わせると、
"美しくない"と感じてしまう。
だからこそ当店では扱わない
という考え方になるのでしょうね。
もちろん全ての作品のことではないし、
お客様注文が入った場合は別ですが。

どれだけ現実が辛く厳しくても、
僕は"前を向く力"こそが
最も重要だと考えています。
これが一番難しいのだけれど。
時には現実逃避してもいいし、
迷走して塞ぎ込んでもいい。
それでも、
"こんな自分はイヤだ"
"このままじゃダメだ"
"自分の人生を生きるんや"
ある種の自己嫌悪みたいなものが
大きな原動力となって
新しい"何か"を生み出す可能性。
それが各々の心に発芽することに賭けて
僕はこのお店を開きました。

この世界に
堂々と
自分の足で立つ心を
磨くことで、
今を生き、
命が輝くのです。
それに気づく
きっかけ、
スイッチ、
扉、
さまざまな"タネ"
本を通して、
当店では扱っているつもりです。

何も考えず、気づかず、
多数派を迎合できたなら
どれだけラクだろう。
だとしたら本なんていらない。
流行っているから、
皆が良いと言うから、
それが当たり前だから、
それだけをエンジョイできていれば
本当にラク。
だけどそれでは
生きててもつまらんのです。
カゴの中に飼われた安心安定の"正義"感に
右往左往、一喜一憂するの
もうやめにしませんか?
そろそろ
"自分が何をしたいのか?"
"自分を生きるとはどういうことか?"

各々が真剣に向き合わなきゃいけない
時代が来ていると思うのです。
忙しいしとか、
頭悪いしとか、
興味ないしとか、
面倒くさいしとか、
考えたくないしとか、
仕方ないしとか、
私には無理だしとか、
もう高齢だしとか、、、
何かをしないための
多くの言い訳なんかいらない。
答えは自分の中にしかないので、
徹底的に自分と向き合ってほしい。
それが"心を磨く"ことだと思っています。

この世界と、
この社会と、
自分自身と、
堂々と闘え。


それが今の僕自身の
心からのメッセージです。

そんなラノベと一般文芸の
違いの分析から、
現代の閉塞感を打破するためには?
みたいな切り口を考えることになるとは、、、
僕のめんどくさい頭の中では
日々いろんな余計なことばかり
考えてるんだなと自分でも驚き、
気づかされますね。
逆にラクに生きられたらと
思う時もあります。

子供時代から
やりたいことを見つける心と、
さまざまな違和感を
見てきた目線と、
前職時代から研鑽してきた
デザイナーとして
美しい物事に対する目線と、
本屋として丸2年を過ごした
日常を言葉で捉える目線と、
それらの積み重ねによって
僕の"今の目線"がここにあります。
3年目もこの本屋という
僕の舞台に自分の足で立って、
演目を演じ続けて参りますので、
観覧席までお越しいただきながら、
時に拍手、
時に叱咤激励なども受けつつ、
どうぞ温かく見守って
頂けますと幸いです。
僕もお客さんも一緒に成長できる
場所となれるよう
3年目も頑張って参ります。
この一年間もどんな素敵な出会いが
待っているのかしらん♪
ワクワクしながら
このブログを締めたいと思います。

結局、
余談だらけの
超長文になってしまいました。
2周年記念ブログはこの辺で。
かなりハードな拙文&長文を
お読み頂き、
誠にありがとうございました。

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