本コバブログ:とはずがたり「今年もお世話になりました。イイ人イイ本との出会いが沢山ありました。」

「本と、珈琲と、ときどきバイク。」の
店主がお送りするブログ。
略して“本コバブログ”。

久々の更新です!
今回は書評ではなく、年の締めくくりとして、
2022年一年間を振り返り、その総括と
僕が選ぶ今年の本10選でも紹介しようかと。
お付き合い頂けますと幸いです。

遠州地方の冬といえば、
この快晴と引き換えのエグい強風。
毎日一日中ずっと吹き続けるんですよ。
今だに慣れることはありませんねぇ。

まずは、
今年もご来店の皆様、
誠にご利用ありがとうございました。
さまざまな出会いや出合いがある中で、
何とか最初の1年間立ち続けられました。
この秋から始めた工場勤務も、
苦肉の策ではありますが、
本屋を続けるためと考え、
泥臭く足掻いております。
営業時間を短縮し、変更せざるを
得ない状況にもなりましたが、引き続き
ご理解ご愛顧のほど、よろしくお願いいたします。

フリーランスの仕事もたま〜〜にですが、
入ってきまして、
イラスト、デザイン、執筆なども
請け負うことができ、
お声かけ頂いたご縁にも感謝です。
どの仕事も不思議なご縁からの繋がりでしたね。

本屋と工場とフリーランスとの並行は
かなりハードではありますが、
今後もできる限りフリーランスのお仕事も
お引き受けしたいと思ってますので、
ご依頼お待ちしております。

何か新しいチャレンジもしていかないと、
工場勤務が永遠に続いてしまう、、、
何とか本屋とフリーランス業務に
重きを置きたいので、
工場勤務に依存したくないのが正直なところ。
ただ、生活していかなきゃいけない以上、
課題だらけで難しいんですけどね。
ここしばらく数年間は工場勤務続きそうです。
そこは体調崩さない範囲で
マイペースにのらりくらり構えていこうかと
思っております。

いささかプロとしては緊張感緩めで
日々お送りしているわけですけれども、
締めるところは締めつつ、
最優先が「自分らしく立ち続けられること」
ということで、
そこは崩さずに楽しんでいけたらと思います。

また引き続き、来年も当店
「本と、珈琲と、ときどきバイク。」を
よろしくお願いいたします!
よいお年を☆

続きまして、
今年出た本の話題に移ります。
今年もさまざまな本が刊行されました。
僕なりにいろんな本と出合ってきまして、
とても全ては読みきれないどころか、
ほんの一部しか読めていないのですが、
ざっくり計算すると、年間70000冊ほど
新刊が出ているわけですけども、
僕が読めてもせいぜい年間50〜100冊程度。
約0.001%しか読めてない笑。
たったそれだけでも、何冊も
「イイ本だなぁ〜」と感じる出合いも多く、
不思議なものですね、本のご縁というのは。
自分の意志で選んで手に取っているはずが、
意外と本に選ばされてることもしばしば。
物言わないはずなのに、
本の持つパワーは計り知れません。
そんな僕がこの一年の本について、
簡単に振り返ってみたいと思います。
本屋大賞2023の一次投票〆切が間近なので、
自然と直結してしまいますが、
ここに書き記しておこうと思います。

僕は本の中では「小説」推しのタイプですが、
小説だけでなく、エッセイ、教養、ビジネス、自己啓発、、、
読む本の幅はなるべく広くとっているつもりです。
それでも時代物やSF、詩・句の類は
どうしても手に取る優先度は低めという偏りアリ。
僕自身の本の愉しみ方なんですが、
シンプルに娯楽として楽しむにとどまらず、
知りたいことを知る、知らなかったことを知る、
想像力を培う、時代のアンテナを調整する、、、
いろいろとありますが、大前提として、
「人の心が動く瞬間がどこにあるか」を知りたいのです。
正直この1点に尽きます。
そしてそれが「バイクとは何か」の本質に
繋がるものだと信じているわけでございます。
喜怒哀楽、感動、出会い&別れ、人間とは何か、
偶然性&必然性、縁、円環、見えないものを見る目、
"何か"をしたいと思った感情、悟性などなど、
知識として、言葉の表現として、物語として、、、
様々なアプローチがあると思いますが、
僕はこの「感情が動く感覚」を探していろんな本を
読み続けているんだと考えるに至っています。
ぐるぐると思考は回れど、
なかなか自身の感性を言語化できずにいたのですが、
ここにきてようやくしっくりと、
少しずつ言語化できている気がしています。

そしてその先に、もしくはその感覚の中に、
大きな存在としてバイクがある。
という考え方になるのかなと思っています。

少し脱線しまして、話を戻しますと、
これだけ本が多く出版されているにも関わらず、
今年出た本には、大きな共通のテーマというか、
傾向のようなものが自然と出てくると感じます。
僕は本屋を始めて2年目と若輩者なので、
ロングスパンではまだ測れていないのですが、
それでもある共通の「何か」を感じますね。
それが今年に限ったことの場合もあれば、
ここ数年に渡ってという場合もあるかと。

特に昨年〜今年にかけては
ロシア&ウクライナの情勢を受けて「戦争」関連の本が
集中していたように思います。まぁ当たり前か。
昨年の本屋大賞受賞作品「同志少女よ、敵を撃て」も
2次大戦中のウクライナを戦地とした、
女性スナイパー目線で独ソ戦を描いた人間ドラマです。
本屋大賞は本来「シンプルに面白かった本」を選ぶ場で
あってほしいと僕は思っているのですが、
かなり世相を強く反映した選考に疑問を感じつつも、
作者・逢坂冬馬さんの受賞スピーチを拝聴しまして、
一旦その疑問は置いといて、素晴らしいスピーチに
世相との繋がりは否定できないにしても、
その選考に納得した次第です。
気になる方は、YouTubeでも
まだ受賞スピーチ観られますので、どうぞ。

そういう特需を置いておくとしても、
全体の傾向として感じたのは、
「自分との向き合い方・折り合いの付け方」
なのかなと思っています。
さらに付け加えるなら、
「世の中をどう生き抜くか」
「女性が社会とどう闘っていくか」といった
生きづらさを解いたもの、
女性自立&自律がテーマのことも
多かったように思います。
向き合う対象としては、
家族、生死、仕事、恋愛、
社会、暮らし、使命感など、
切り口はいろいろあれど、
全体の共通項としてはそのように感じました。
あくまで主観だし、日々の選書と
所詮自分が手に取った本の範疇でしかないので
あしからず。

今年出た本の総括を
僕の言葉でまとめるなら、
こういう文章を書いてみます。

「人生はままならない。
生まれも育ちも生まれた時から
誰しも選ぶことなどできない。
その時々の境遇、育ってきた足跡、
関わってきた人たちも誰一人として
同じ人などいない。
そうやって積み重ねてきた
自分だけの唯一無二の時間を
大事にしなければならないし、
大事だと感じる感性を磨かなければいけない。
楽しいと感じている内はまだいい、
ただ楽しいだけの人生なんてあり得ないのが、
生きるということ。
少なからず誰しも苦しみ悩んでいる。
どんなに今が辛く、苦しくとも
せめて自分が前を向ける"何か"を探して
他者に寄り添い、我々は生きて
いかなきゃならないのだろう。」

ということなのかなと。
「未来の先行きの不安さよりも、
目先の身近にある地味な暮らしの中にある
彩りや豊かさ、美しさこそが「幸せ」であり
そこに気づける"心・感性"こそが
我々が培わなければならないこと。」

ではないかというメッセージを感じました。


そんな僕が勝手に選ぶ
今年のイチオシ新刊10選(文庫も含)はこちら。

中央公論新社「静かな爆弾 〜吉田修一〜 」
中央公論新社「タラント 〜角田光代〜 」
小学館「コスメの王様 〜高殿円〜 」
新潮社「孤蝶の城 〜桜木紫乃〜 」
小学館「宙ごはん 〜町田そのこ〜 」
岩波書店「低空飛行 〜原研哉〜 」
ホーム社「デクリネゾン 〜金原ひとみ〜 」
朝日新聞出版「傲慢と善良 〜辻村深月〜 」
ミシマ社「ええかげん論 〜土井善晴×中島岳志〜 」
PHP研究所「忘れる読書 〜落合陽一〜 」 

こうやってリスト化してみれば、
なんだ結局人気の作家さんや著名人ばかりかい!
所詮ミーハーだなぁと感じてしまいます。
あまり有名じゃない作家や若手、
掘り出し物も拝読してはいるのですが、
なかなかここに並ぶには至らず、、、
時代を捉える目、目に見えない物事への言語化、
どこを切り取るかなどなど、、、
ホントにスバラシイ作品たちだと思います。
やはり人気どころはしっかりと面白い!
だから人気なんだけどっていう話ですが。

そして僕の脳裏には必ず"バイク"がおりまして、
これらの本がバイクと繋がっているかどうかという
独自の文脈でも考えております。

この10冊から吸収できることとして、
バイクに興味を持ち、乗ろうとするために、
・丁寧な暮らしとは何か
・何に気づかなきゃいけないのか
・相手を思いやる想像力とは何か
・何を想像すべきなのか
・自身が言いたいこととは何か
・美しさはどこに宿るのか
・思考力と身体性の大切さ
・我慢する必要はあるのか
・空気を読む必要はあるか
・日本という国の良い所悪い所、独特性
・やりたいことを見つけるにはどうすればよいか
・やりたいことを見つける必要はあるか
・折り合いをどうつけるのか
・人としての豊かさとは何か
・どう年を重ねたらよいか
・男が男らしく女が女らしくって?
・女性の自立とは何を指すのか  などなど、
このような感性を培えるのではないかと
僕は感じた次第です。

さらに言えば、これらの本に加えて、
アニメ「攻殻機動隊」シリーズを
観るのもオススメです。
いろんな考察や切り口が展開できる
素晴らしい近未来SFアクションアニメですが、
中でも僕がピックアップしたいのは、
「人が人たらしめんとするものは何か?」
というテーマで見ると、面白い気がしています。
「その人がその人である根拠ってどこにあるのか?」
肉体?脳?記憶?感情?心?マイナンバー?NFT?、、、
このアニメを観た後、この質問に答えられますかね?
脱線しそうなので、ここはサラッと流しまして、
物事をいろんな角度で見るよい訓練になるかと思います。

以上です。
もし気になる方いらっしゃいましたら、
読んで&観てみてもよいかもしれませんし、
読んだ本があれば、ぜひ感想をお聞きしたい。
このラインナップなら「こんな本もあるよ」と
オススメを教えて頂くのも僕としては嬉しいです。

ご参考までにどうぞ〜。
以上、当店が選ぶ今年の本10選でした。

さぁ本屋大賞2023の投票〆切まであと少し!
実はここにきてまだ新しく本を読もうとしてまして、
果たして間に合うか、、、

ここからは余談です。

正直そんな真面目に
田舎の零細書店員が
頑張っていろんな物事の言語化や
自分の思いの発信に
努めなくてもいい気もするのですが、
何かを"感じて"「伝えること」
「伝えようとすること」は
日本人に一番足りない力だと
僕は思っています。
しかも超重要テーマだとも考えます。
これから国力を上げてくうえでは
避けて通れない力のはずで、
一部の偉い人や賢い人だけがやればいい、
と部外者を気取っている内は日本が危うい。
「目に見えないものを感じる心」を培い、
「心から○○が好きだ・美しい」と
堂々と対外的に言える器を磨きたいものです。
これから日本を担う若者たちには必須のスキルであり、
それを育てるのは我々大人の教養が最も試される。
特に日本は世界から見ても"個性の塊"の国であり、
"超独特"な美学が根付いている国でもあります。
"言語"も豊富ですし、文化の塊です。
それらに気づかずに、
大学受験のための点数勉強や、
わかりやすいダイナミックさがある欧米へと
憧れが向くだけなのは非常に勿体無い。
まず"気づく"ことからだと考えます。

「何かを伝えること」は、
その必要がある・ない、
誰も求めてない、
正しい正しくない、
合ってる間違ってる、
流行ってる流行ってない、
否定されたら&嫌われたらどうしよう、
多数派少数派、世間体、、、
そんなことはどーーーーでもよくて、
気にする必要が全くないこと。
日本人の悪い癖。それよりも
「自分の考えを持つこと」
少し言い換えると、
「自分らしい考えを持つこと」ですね。
これがどれだけ難しくて、
暮らしの中で大事なことなのか、
日々痛感しています。
例えば「〇〇が好き」という
感覚があったとして、
その感覚がどこから来るものなのか
掘り下げる人は少ないと思います。
いちいちやってたらただの面倒臭い人です笑。
それでも自分の中で消化しておくと、
暮らしの解像度が上がっていきますし、
海外でもその感覚は通用します。
案外掘り下げていくと、これがね〜
「だって面白いから」
「カッコいい&カワイイから」
「流行ってるから」
「皆が好きだから」
「メディアでよく見るから」
という周囲と合わせただけだったり、
安易な理由にとどまることも多く、
「自分という人間の形成になっていない」と
気づくことが多かったりします。
若年層は安直でもよいので、その積み重ねが
大事なんですけど、あるとき気づくわけです。
「あれ?私って何者?このままでいいん?」と。
若い時ならいざ知らず、いい大人でさえも
ただ大衆メディアに振り回されてばかりいては、
そりゃ自分を見失うのは当然で、疲労困憊でしょう。
日々いろんな事に忙殺されていて、
簡単に目に入ってくる情報だけが全てで、
"自分で考える"なんていう余力が
残されていないのが現代。
もうそろそろ各々自身がいろんな物事に対して
「変だぞ!?」「ヤバいぞ!?」と"気づく"必要が
あるのではないでしょうか。そんなとき、
まず自分を知るところから始めてみてはいかがですかね。
「自分がどういう人間か」を知ることは
「世界を知る」こととほぼイコールと
言っても過言ではないと僕は思っています。
自分のことは自分が一番知っているとは限らず、
自分自身でも自分のことを知らないことが多いです。
それには日々本を読んだり、
バイクに乗ったりなど、が最適だと思います。
何かを受けて
「自分の考えを持ち・伝える」を重ねていけば、
それは「自分を知る」に繋がり、
それは「私たちを知る」に繋がり、
それは「日本を知る」に繋がり、
それは「世界を知る」に繋がり、
それは「この時代を豊かに生きる」に
繋がるものだと信じています。

ごくごく当たり前である、
"働いてお金を稼いでしたい事をする"
この考え方"だけ"では足りなくて、
必ず行き止まりがある。
結局、「自分が何者か、どうなりたいか」を
探し続けないと現代においては、
心が疲弊するだけのような気がしています。

その先に、
日々「ハハハ」と笑える
日常の有り難みを
感じるわけでございます。
そうやって歳を重ねた先に待っているものが
何なのか、なんて誰にもわからないけれど、
そこにはもうすでに「特別な美しさ」が
宿っているはずだと僕は考えます。

今後50年かけて、
僕はそんな「美しい人」になりたい。

以上、余談でした。
年の瀬に、自身の内面を見つめる
雑談をしてしまいましたね。
来年の抱負どうしようかなぁ〜。

不定期更新のこのブログ、
また来年も気まぐれ更新ですが、
引き続き、よろしくお願いします〜。

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