本コバブログ:書評「感情労働の未来」を読んで

「本と、珈琲と、ときどきバイク。」
店主がお送りするブログ。
略して“本コバブログ”

7月ももう後半、
梅雨が明けたとたん、
各所で40℃超のニュースが頻発する今日この頃。
地球はどうなっちゃうんでしょうか。
円安も止まりませんね。
1ドル=163円だってばよ、、、
約39年ぶりだそうで、
ほぼ僕が生まれた年以来の円安。
各会社の経済活動に大きく影響が出てるようで。
僕の勤めてる会社もこの危機を乗り越えられるのか!?
とはいえ目の前のことに集中するしか貢献できませんで、
なにぶん小さな会社なので、世界情勢からくるダメージで
すぐ右往左往、一喜一憂するほどグラついております。

本屋としても、
出版&流通状況は大丈夫なのか!?
当店のような規模の個人書店への配達なんて、
いつ打ち切られてもおかしくないと、
正直ビビッております。
我々はビビることしかできませんで、
世界情勢なんてコントロールできず、
甘んじて耐えるしかない状況。こちらも
結局目の前のことに集中するしかないわけですが。


そんな前段はさておき、

今回も良い本と出合いましたので
このブログにて紹介したいと思います。
酷暑や円安なんてどこ吹く風、
至って平和な #本コバブログ です♪

ということで、
今回も書評という名の
本の感想ブログです。

今回紹介したい本はこちら
恩蔵絢子 著「感情労働の未来」
前回に続いて今回も小説ではありません。
ところが、
今年ダントツで当店の人気を誇る一冊なのです!
なぜそんなに人気なのか、
理由がわからずでしたが、
先日ようやく拝読。
、、、
そりゃ人気出るわ!!笑
大変興味深いテーマとその内容に、
「なるほど!」と考えるきっかけをくれる
素晴らしい一冊でございました。

自分で選書しといてなんですが、
「成瀬は天下を取りにいく」以来
ここまで極端に人気が出るのは想定外で、
僕自身が一番驚いている始末。。。
当店の数少ないお客さんにも関わらず、
入荷してはすぐなくなり、
さらに入荷してはすぐなくなり、
その繰り返しで、、、
当店の本の動き方としては
かなり珍しい超人気本となっています。
まだまだ推して参りますので、
当店でもよし、最寄りの本屋さんでもよし、
ぜひぜひお買い求めくださいませ。

余談ですが、
今年は本当に豊作で、
当店で扱いたいと思う、
小説や教養本などが
いくら選書してもしたりないほど
入荷したい本だらけな年。
そしてあっという間に
今年ももう後半戦、、、
読みたい本は積もるばかりで笑


ではまずあらすじから

AI時代、人間が持つ最大の能力は、感情になる!
感情を抑圧し“他者にあわせる“ストレスフルな現代から、
“他者を理解する“感情的知性の未来へ。
人間の可能性に話題の脳科学者が迫る一冊。
介護職・看護職・サービス業の人も必読!
本書では脳科学から感情労働を見直していき、
現代に特有の感情労働についても分析してみた意欲作。
私たちはインターネットやSNSの登場で、リアルでは
つながりのない人と簡単につながれるようになった。
さまざまな人の感じ方や意見や態度にさらされて、
自分の感情の使い方はどんな影響を受けているのだろう?
さらに人工知能とも比較して、
人間とはどのような存在なのか改めて考えてみよう。
きっと私たちの価値は感情にあることがわかってくるだろう。



出版社(河出書房新社)サイトより引用。
このあらすじでおおよそテーマが伝わるかと思います。

本書は、接客や介護、看護などで
求められる「感情労働」を、
社会学だけでなく
脳科学の視点から捉え直した一冊です。
著者は、感情を単なるストレスの原因ではなく、
人間が他者を理解し、
社会で協力して生きるための
重要な知性だと位置づけています。

「感情は抑えるべきものではなく、
人間がAIには代替できない価値を
発揮するための知性である」という視点から、
感情労働を未来志向で捉え直した本になります。

???わかりますかね???

一見小難しそうに見えますが、
読めば至ってシンプルで、
共感と気づきの嵐となることでしょう。
働くことの窮屈さや呼吸のしにくさの原因は
"感情労働"の欠如と配慮が
起因してるからかもしれないと
この社会に立つ私たちなら、
誰しもが各々の状況に置き換えられて、
必ず活用できる教養本となっています。
接客や介護、看護などに携わる労働だけでなく、
会社員含め、人と関わる全ての労働者に通ずる
内容となっています。


この本も前回のブログ同様、
大量のメモを取るハメになってしまいました。
やはり僕は、”言葉”が好きなのかもしれません。
読んで理解するというだけでなく、
言われてみれば当たり前だと思うようなことも、
改めて文脈の中で言語化され、
気づきを得られるような「言葉」にまで
落とし込めている時点で、
それはもう感動に近く、毎度驚かされるわけで。
今までモヤモヤっとしていたものが、
言語化によって一気にクリアになった感覚は、
間違いなく琴線に触れたという自分のセンサー。
その"瞬間の感情"を大切にしたく、
大事に書き写すようにしているわけです。

ここからさらにしばらく脱線します笑

個人的な肌感ですが、ここ10年あたりで、
言語化の素晴らしい本が急増した印象です。
今までは専門書だったり、
あるテーマについての教養本というのは、
「勉強」という側面が強く、
どこか小難しく、
なかなか頭に入ってこなかったわけで
(少なくとも僕の頭には入りづらかった)。
ところが約10年ほど前、僕の事例で言えば、
どこか窮屈で悶々と悩みを抱えたまま
行き詰まっていた前職時代に、
何か打開するためのヒントを探すべく
「本」や「言葉」に光を求めたのがきっかけで、
もともと本や本屋は好きだったものの、
特に読書家でもない僕が、再び本の魅力に目覚め、
本屋を始めるまでに至ったというのも、
手に取った本全てがほぼ良本だったというのが
大きく影響しているのかもしれません。
現代の本のテーマはバラエティに富んでいて、
自分の抱える悩みに寄り添うドンピシャなテーマも多く、
おまけに言語化が本当に圧巻で、読み物としても面白い。

視界が一気にクリアになる感覚は毎度本当に気持ち良くて。
自分の人生を自分らしく豊かに歩む上で、
前職の会社員でいることのデメリットのほうが大きいと、
退職を気持ちよく決断できたのも明らかに本のおかげでした。
良いテーマと良い言語化の多種多様な本によって
「言葉」が血肉となる感覚
と言えばよいのでしょうか、
自分の中にある細胞が成長していくのを
良本を読むたび、ダイレクトに感じるのです。
だからこそ、琴線に触れた「言葉」と出合えたとき、
なるべくノートに書き写すようにしているのです。
そうしてできた「マイノート」は
単純に魅力的な言葉に溢れてて、
自分が何を大事にして生きたいのかがわかる
「秘書」や「コンシェルジュ」的な役割
をも担う
スペシャルノートと化すのです。
一度書けば脳のどこかに保管されるので、
お客さんとの会話でも必ず役に立つし、
言葉を知っているとやっぱり「強い」ですね。
地に足が付いているというか、
変なことで揺らがない軸がある感じ。

そのノートもついこの前3冊目に入ったばかり。
(実は密かに高校生の頃からのメモもあり、
それ含めると4冊目)
このままライフワークとして続けた先、
一体何冊になって、どんな言葉が
詰め込まれるのでしょうか。
これまた人生の楽しみの一つです♪


だいぶ脱線しちゃいましたね。。。

戻しまして、
今回紹介している「感情労働の未来」も
言語化が魅力的な一冊でございますよという話で。

ネタバレにならない範囲で、
気づきが多かった文章を
いくつか紹介したいと思います。
いくつかどころか大量にあります笑
選りすぐりの文章、25連発をどうぞ!


①「脳にとっては、初めてのこと、
  予想外のことが一番の学びなのだ」

②「1.感情は初めての時に一番動く
  2.感情が動いたことは強く記憶される
  3.感情は速い(そして感情は変わっていくもの)
  4.感情は個人差・文化差がある」

③「チームとしてさまざまな課題に対して
  高い成果を出すために、一番関係があったのは、
  そのチーム内に、人の気持ちにどれだけ敏感かという
  『社会的感受性』が高い人がいるかどうかだった」

これは頭の良い人やIQの高い人、いわゆる優秀な人だけで
チームを構成した場合との比較において、
とても興味深い結果が出たというくだりの中の一節。

④「いつも特定の人だけがしゃべっているのではなく、
  全員に均等に発言の機会が与えられているような
  チームは成績が良かった」

⑤「男性女性はさておいて、チームメンバーに気を配り、
  一人ひとりが力を発揮できるように、
  やりにくそうにしている人がいたら声をかける。
  そんな存在こそ、チームとしての成績を上げる
  本当の要因。感情面の努力が大事なのである。
  一人ひとりは別の個性を持っているのだから、
  それぞれの力が最大限に発揮されるのが一番良く、
  それぞれの人が力を発揮できる気持ちの良い場を
  作れることもまた、大事な才能なのだ」

⑥「人の気持ちに敏感であること、またゆっくりと
  関係性を築き、長所や欠点をよく理解し、
  それでもつながっているということが
  集団的知性の発揮には重要なのである」

⑦「自分がやりたいことと、
  他人がやりたいこととがあって、
  それが食い違うからこそ、人のことを
  理解するという感情労働が存在する。
  他人を自分に合わせさせる、
  自分を他人に合わせる脳の使い方だけでは、
  ~中略~
  相手と自分を理解することとは程遠い」

⑧「人間が生きる動機は、誰かの注目を得たい、
  誰かの信頼を得たい、という他者に依存した
  ところから、知らないことを知りたい、
  自分はこれが好きだから他者がなんと言おうと
  ここでがんばりたい、という他者が
  全く関係なくなるところまで
  幅広く発達させることができる」

⑨「自分がいいと思うことと、
  他人がいいと思うことは、
  社会の感情規制に影響を
  受けているとはいえ感情には個人差があり、
  100人いたら100通りあるはずで、
  一致しない可能性が高い。それゆえに
  自分がやりたいと思うことをやったり、
  その気持ちを表明したりすることには、
  他人との違いを主張することになるので
  勇気がいる。その勇気を与えてくれるのが、
  失敗しても私は味方だよとシグナル出してくれる
  親や友人などの安全基地なのである」

⑩「企業の規則に従うことで自分を失ってしまう
  感情労働を指摘したが、もしかするとSNSなどで、
  他人の承認をもらうために自分の感情を
  みんなに受け入れられるものに合わせていって
  しまうことが、現代の見直されるべき
  感情労働なのかもしれない」

⑪「何か自分の興味のあることをがんばって、
  それで人から承認されることはうれしいことだが、
  承認自体が目的になることはあやういことだ。
  『一度尺度が目的になると、それはもはや
  良い尺度とは言えなくなる」
  ~中略~
  例えばいろいろなことを知るのが楽しくて、
  勉強に打ち込んでいると偏差値という尺度も
  上がっていくかもしれないが、偏差値を
  上げるための勉強になってしまうと、それは
  いいことではなくなってしまうというのが
  そうである。会社でも例えば、良い商品が
  作りたいと思ってその商品が売れたりすると、
  売上という尺度だけが重要視され、
  売れる商品だけが作られて良い商品から
  離れていってしまう」

⑫「真面目さと、人を物のように冷たく扱うことは、
  コインの裏表のようにくっついている」

⑬「良いと思える目標に真面目になればなるほど、
  『人』が見えなくなってしまうことがある」

⑭「基本的には、『こうでなくてはならない』と
  いうことで、他人と関わるのではなく、
  もっとリラックスして、自分と他人に
  余裕を与える。自分と違う相手に
  本当に興味を持つということになるのだろう」

⑮「学校での勉強で評価される項目だけで、
  人間の知性が決まるわけではない」

⑯「IQと感情的知性には相関がない」

⑰「感情的知性が高い人は、言語で明示的に
  表されたものだけでなく、非言語情報に敏感で、
  自分や他人の感情の動きに気づきやすい。
  国語・数学・英語というような
  テストの問題ではなく、人間と人間の間に
  問題が起こった時、解決のために
  自分の感情をうまく使って、良い方向へ
  持っていくことができる。
  感情的知性とは、社会生活を円滑にしたり、
  集団としての能力をあげたり、
  個性を把握し社会の中に自分と他人の居場所を
  作る能力のことである。
  感情的知性の高い人は、必ずしも目立たず、
  縁の下の力持ちになりがちだが、
  良い意思決定ができる人であり、
  優れたリーダーになることも多い」

⑱「自分を知る時はどんな時かといえば、
  感動した時であると私は思う。
  ~中略~
  自分を無理矢理に社会に合わせて作り上げ、
  自分が見えなくなりやすい生活の中で、
  感動の一瞬だけは、自分のものだという気がする。
  だから私は、そのような瞬間だけは
  誰にも譲らずに、しばし立ち止まることにしている」

⑲「自分の無意識の一部が正確に把握される瞬間、
  人は幸福になる。気づきは、集団のうちで
  人に合わせている時には失われがちな
  『自分』が見えてくることなのだ」

⑳「自分にとって一番肝心な感情は、
  必ず自分で表現しておく」

㉑「全てがコントロールできる
  という勘違いから離れ、
  コントロールが利かない世界の中で、
  時々ある『気づき』を大切にする。
  それだけで良いのかもしれない」

㉒「人間が人間と付き合う価値は、
  人間の動く心がわかるようになることに
  尽きるだろう」

㉓「『便利』とは違う価値、曰くいい難い価値が、
  それぞれの人にはあるということである」

㉔「相手と、自分の間に、何を置いたら、
  二人の心は響き合うだろう。
  どうしたら心が震えるだろう。
  互いに楽しいと思えるものを
  間に置くことができたら、
  そういう知性を発揮できたら、
  人は、心をのぞかせてくれる」

㉕「フルフルと動き揺れる心を、
  私たちはいくつ知ることができるだろう。
  自分の心は、どういう時に動くだろう。
  相手と自分の心が共鳴している瞬間は、
  本当に一瞬で、奇跡である。
  日常の中に真実がある。そして
  心を見るのは本当に難しい」



過去一で文章を載せてしまいました。
どれも気になる文章でしょう?
出版社や著者から
「もう少し削って、、、」とお叱りを受けそうです。
でもどれも断片的な文章だから、
全体的な起承転結のネタバレにはなっていないはず。

これらの文章から、
どこか停滞している組織ないし、事業、
人間関係、自分自身のモヤモヤなどなど、、、
目からウロコな情報ではないでしょうか。
全ての分野に当てはまるし、
良い方向に舵を切るための
大きな気づきとなるこの一冊。
どれだけAIが発達しようが、
結局は人と人でしか成り立たないことも多く、
それでいて人と人とのトラブルの大半は
相手への配慮の欠如というか、
感情に寄り添えてるかどうかが大きいという事実。
まさにこの本が
現代のライフスタイルや労働環境における
不足しがちな要素の一つを見事に言い当て、
掘り下げられた良書にほかなりません。

さらに言うとこれらの載せた文章は
僕のメモの全てではなく、
まだまだございまして。。。
琴線に触れる言語化が本当に多い一冊で、
もう腱鞘炎になるくらいメモってます。
それだけ気づきの多かったテーマかつ、
良質な言語化を感じる素晴らしい一冊なのでした。


かなりの長文になってしまいましたが、
この辺で締めたいと思います。
そんなどこかのだれかに強くオススメしたい
「感情労働の未来」でございました。
あなたも読んでみてはいかがでしょうか。

それでは今回はこの辺で。
長文読んで頂き、ありがとうございました。

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