本コバブログ:書評「インフォーマル・パブリック・ライフ」を読んで
「本と、珈琲と、ときどきバイク。」の
店主がお送りするブログ。
略して“本コバブログ”。
昨年末以来の超久々の更新です。
いつのまにか梅雨に入りまして
今年の梅雨は晴れたり雨だったり
雨がそんなに降ってない印象で
安定しない気候が続く7月のはじまり。
ふと時間ができましたので、
このブログにて本を紹介したく
筆を執りたいと思います。
ということで、
今回も書評ブログです。

今回紹介したい本はこちら
飯田美樹 著
「インフォーマル・パブリック・ライフ
〜 人が惹かれる街のルール 〜」
珍しく小説ではありませんで、
住み良いまちづくりとは?を考察した
濃厚かつ熱量あふれる思考本です。
僕は"町を灯す本屋"として
学ばなきゃいけないところがあるのではないか
という目線で拝読しまして、
「住み良いまちづくりによって、
人を育て、地域を育てる。」
この考え方は本屋の在り方と全く共通で、
予想通り、参考にすべき点&学ぶ点が、
非常に多かった本でした。
「家と会社だけでないサードプレイスを作る」
まさに当店もこの本に書いてあるようなことが
実践できるお店になれたらなぁという思いです。
ただ、
できてない&できない&向いてないことが多すぎて
理想と現実を思い知るわけですが、、、
やはり立地と資金と人と歴史が
どうしても関わってくる案件だなと。
宝くじ並に資金が手元にないと、
この本とリンクした僕の構想というか
僕の理想とする、本屋➕オープンカフェ➕αの
形態にはならないわけで、、、
理想ばかりが膨らんでしまいましたね。
皆にオススメしたい本ではあるけれど、
自分ごとにできる方はかなり少数派かな?
ということで、人を選ぶ本でもある。
自分が今住んでいる町で、少しでも
何か事業を始めたいと考えている方、
すでに事業を始めている方、
何か地域に貢献したいと考えている方、
まさにまちづくりに携わっている方、
"居場所"を考えたい方、
"年の重ね方"を考えたい方など、
ピンポイントであなたの思考に
寄り添える一冊となっているのは
間違いありません!
そういう意味で人を選ぶと言いつつ
全方位で皆にオススメできる
一冊となっています。
ではまずあらすじから
世界の人々を惹きつける街には
共通するルールがあった!
著者前作『カフェから時代は創られる』から15年。
パリ、ディジョン、ヴェネチア、コペンハーゲン。
著者が世界を旅して調査した心地よい街の実現方法とは?
①7つのルールから読み解く21世紀のまちづくり
実践者の感性・感覚で取り組まれてきた
暮らしのためのまちづくりに、
強い足場を提供してくれる
「21世紀のまちづくりのバイブル」となる一冊。
②暮らしやすさは自分たちで生み出せることを知る"希望の書"
著者のニュータウンでの暮らしで感じた
"暮らしにくさ"から始まる、
その暮らしにくさがどこから来るのかを解き明かし、
暮らしやすさを自分たち自身の手で
生み出せることを伝えてくれる、
日々の暮らしの中の疑問に答える一冊。
このあらすじは
出版社サイトより引用しました。
まぁだいたいここに書いてある通りなんだけど、
なんだか少しわかりにくいなぁと感じますので、
僕ならあらすじをこうまとめます↓
カフェ文化・まちづくり研究者の著者が、
世界の魅力的な都市を調査し、
人が自然と集い、偶然の出会いや交流が生まれる
「インフォーマル・パブリック・ライフ」の
重要性を解説した一冊。
心地よく暮らせる街には、
どうやら共通点があるらしい。
自身の経験や体験とその考察から
7つの法則を解き明かす本となっている。
車中心ではなく人中心のまちづくりを提案する本でもあり、
家〜会社の往復だけでは不足しがちな、
サードプレイスに関心がある人に向けた本でもある。
孤立しにくい豊かな公共空間の在り方を探った
愛と情熱が成し遂げた壮大な研究譚!!
こんな感じでしょうかね。
誰からも求められてない中で
著者の飯田さんは
どこか活気のない街や
便利だけど過ごしにくい街への疑問から、
自分で徹底的に研究を始めるわけです。
国内外問わず、
さまざまなまちづくりに関する研究論文を
読み漁り、歴史も調べた上で、
その変遷をたどりながら、
自らも現地に出向き、
思考と分析の限りを尽くして
磨き上げた15年の集大成となる
飯田さん自身の物語ともいえる
研究本という立ち位置。
素晴らしい熱量が本書から伝わってくる傑作でした。
目に見えない大事な部分が言語化されていて、
個人的には大量のメモをとることになりました。
(自分の中では、メモが多い本は良い本の証)
文脈もあるので、ほんの一部しか紹介できないのですが、
特に琴線に触れた文章をいくつか紹介して終わりたいなと。
ホント皆さんにぜひ読んでほしい。
漠然と何かを考えるきっかけにもとてもよい一冊です。
①「どんな人間も都市の中で一緒に暮らす。これが原則なのだ。」
以下、それに続く文章も載せます。
それに対し、日本では高齢者は高齢者向けの施設。
子どもを産んだ女性はひたすら子ども用の施設を
巡ることになる。同じ地域に住んでいても
同じカテゴリーに属していない高齢者と子どもが
出会い触れ合う機会は滅多にない。
そして私たちはある日突然、社会的弱者になった瞬間に、
いかに弱者が社会の辺境に追いやられた存在であるかに
気づいて愕然とするのである。
社会的弱者のためにつくられた施設の多くは、
実際には限定された者だけが集まる排他的な空間である。
〜中略〜
私たちはこうしてあるカテゴリーに分類された時点で、
そのカテゴリーの中でだけ生きることを暗黙のうちに
強要され、別のカテゴリーから弾かれ、疎外されていく。
〜中略〜
たとえ弱者のカテゴリーに分類されても、
多くの人は「自分は普通である」と思っているし、
限定されたカテゴリーの中に押し込められて
社会から疎外されるのは嫌なのだ。
↑素晴らしい考察の文章だと思います。
僕はこれを読んで「その通りやん!!」と
思ったと同時に、
カテゴリーで分類して住み分けるという考え方、
もっと言えば弱者を隔離するという考え方そのものが
国民皆同じ民族で生きてきたからこその
排他的な日本人特有の国民性とも感じましたね。
この根底にあるマインドを意識して排除し、
「共存」の道を探らない限り、良い街づくりには
繋がらないのだと、ただただ気づきと共感を得ました。
②「結局、人は最後は地域で生きるのだ」
以下、それに続く文章も載せます。
元気で体力もお金もあれば一時間かけて
日々都心に通えるかもしれないが、
そうでない場合には、結局長い時間を過ごすのは
自分の家の周辺になる。だからこそ、
今後の超高齢社会にとっても、
乳幼児の子育てをしている人にとっても
インフォーマル・パブリック・ライフな
街づくりは本当に重要なのである。
↑これもとっても良い文章だと思いました。
全ては冒頭の一文で表現されている。
歳を重ねてからが住みよい街としての
真価が試されるということです。
生活を徒歩圏内で済まさなければならないほどの
年齢になった時を考えると、ますます生活圏内に
サードプレイスが必要であり、
街としても人としても活性的で、
健康寿命を維持するためには
必要不可欠なファクターだと僕も感じました。
③「自分は大切にされていると感じられること」
以下、それに続く文章も載せます。
特に富裕層はその欲求が顕著で、彼らはそのためなら
大金をはたく。高級ホテルの料金が驚くほど
高くても宿泊するのは、そこで大切な客として
扱ってもらえるからである。
↑これぞ本書が説く、
老若男女国籍問わず、まちづくり成功の秘訣。
本書には良い街づくりのための
7つのルールが綴られていますが、
僕個人としては、この一文が一番「ハッ!」と
させられるほど琴線に触れまして。
「自分がここにいてもいいよ」と
感じさせる安心感はどこに宿るのかと考えたときに、
「自分という個人が人に歓迎されている」と
思わせることなのだと。
僕自身はあまり人間が好きでないのですが、
歳を重ねていけばおのずと、悲しいかな
結局「人は人でしか安らぎを得られない」という
境地にたどり着くということなんでしょうかね。
僕がそれを実感するにはもうあと30年後くらいかな笑
しかもこの考え方はあらゆる場所で使えると思ってまして、
学校でも応用できるし、
職場でも応用できるし、
家族にだって応用できる、
なんだか全ての真理が描かれている一文だと感じました。
いかがでしたでしょうか。
街づくりとは無関係な方でも
読みたくなったでしょうか。
何も作る側でなくとも、
住む側として見ても
とても多くの気づきをくれる一冊。
いろんな違いを受け入れる器と、
人に優しくしなきゃなぁーという思いと、
自分や当店に足りない部分が露呈しちゃった、、、
と僕自身は感じております。
なかなか締められず、さらに余談ですが、
本書には
世界のいろんな都市が出てきますので、
その都市に足を運んでみるのもアリだと思います。
その中でも
ベネチアが良く例として挙げられていましたが、
僕もベネチア経験者として、
とても共感があったと同時に、
日本とイタリアでは
国民性が真逆と言っていいほど
”豊かさ”に対する感性が異なるとも感じまして、
例えば、ベネチアをそのまま
日本に持ってきたとしても
ベネチアのようには機能しないだろうなと。
「その場所は、その場所だから意味がある」という
視点もあるのではないでしょうか。
その要因として、本書にも書かれてましたが、
”歴史を感じられるかどうか”がかなり効いてくるなと。
イタリアが”ベネチア”なら、
日本で言う”京都”と考えると合点がいく気がします。
今風な場所やおしゃれな場所を作るのは
比較的容易ですが、
長い歴史の積み重ねという、
人の作為ではとてもコントロールできない
大きなものに包まれるのも
「インフォーマル・パブリック・ライフ」という
サードプレイスを作る際には欠かせないのだと
僕は思うに至るのでした。
そんな感じで、
小難しさもありつつ、大事な視点をくれる
「インフォーマル・パブリック・ライフ」の
あれこれを考える一冊。
あなたも読んでみてはいかがでしょうか。
それでは今回はこの辺で。
長文読んで頂き、ありがとうございました。

