本コバブログ:書評「響け!ユーフォニアム」シリーズ全14冊を読んで
「本と、珈琲と、ときどきバイク。」の
店主がお送りするブログ。
略して“本コバブログ”。
前回のブログからしばらく経ちまして、
当店のある静岡県掛川市は
梅雨明けしたばかりの週末。
と同時に猛暑日の週末のなか
お送りしております。
例年より約2週間も早い
梅雨明けだそうで、
年々、異常気象が所々垣間見えますね。
10年後、20年後の気候は
いったいどうなっているのでしょうか。
そのうち生身で外出できなくなるのかも、、、
なんて想像してみたり。
さておき、
今回も書評ブログです。
前回前々回、そして今回と
書評ブログが3連続。
この時期紹介したい本に
出合えている率が集中してますね♪
ただ、新刊ではございません笑
でも今回はなんといっても本命中の本命、
満を持してのご紹介です。
本ブログ初となるシリーズものを読破しまして、
しかも全14冊!
第一巻目を読み始めたのは昨年(2024年)の9月。
読破するのに時間がかかってしまいました。
前回のブログをアップしてから
まもなく書き始めたのが今回のブログ、
約1ヶ月半ほどかかってます。
それだけに今回は語るぜ〜👍
絶対長文になりますので、ご承知おきを笑
目標10,000字!!
僕自身、
本はちょこちょこ読めてはいるものの
新刊を扱う本屋としては今年の新刊が
全然読めてないのはじつに歯がゆい。。。
本屋大賞の投票や
お客さんとの会話にも関わってくるのでね。。。
でもご愛嬌ということで、
新刊よりも既刊のほうに
読みたい本が今は集中してましてね。
そもそも新刊既刊関係なく
読みたい本はどんどん溜まっていくので、
どうしても既刊本が列を為して
順に待っているのですよ笑
時間は有限ななか、贅沢な悩みです。
そんななか、
今回ブログで紹介したいのは、
著者 #武田綾乃 先生による、
「響け!ユーフォニアム」シリーズ全14冊!
昨年、京都アニメーションの作品として
最終章となる第3期が放送され、無事完結。
大変話題になりましたね。
意外とこういう本からでも
自身がバイクに乗るきっかけに
十分なりうるなと。
その可能性を色濃く感じた
素晴らしい小説でございました。

↑上画像がアニメ放送順。
まずアニメのほうから少し解説させてください。
あらすじを簡単に言うと、
京都にある高校の吹奏楽部の3年間を描いた
繊細な人間ドラマ、青春ドラマです。
第1期の放送は2015年でした。
以降、総集編や劇場版、特別編5本、第2期と
多くの続編やスピンオフ作品などが続いて、
あとは最終章の制作だけとなってからの
忘れてはいけない #京アニ放火事件 ...
制作側の主軸なるキャラクターデザイン担当
#池田晶子 さんを亡くし、
ほか優秀なアニメーターも多く亡くし、、、
胸が痛くなる危機的トラブルを経て、
制作メンバーを再編成しながら、
報われなかったスタッフの魂と一緒に
最終章まで完走できた
いろんな思いを背負ってできた作品。
完結できたこと自体が奇跡のような作品です。
しかも朗報として、
現在では、2026年春に
最終章の劇場版(第3期の総集編?+α)の
前編公開を控えている状況。
前編ということは後編もまだ続くわけで。
途中危機的状況を乗り越えながら、
時間も多くかかりながらも
10年以上続く、ロングランの
非常に人気のコンテンツとなっています。
元々持つ原作の力はもちろん、
京アニの圧倒的な映像美とが重なって、
相互補完し合う素晴らしい関係性。
このアニメを通して
吹奏楽部に入りたいと思う生徒たちの急増、
今までは地味な存在として注目されなかった
ユーフォニアムという楽器への人気が
爆発したと聞いています。
それだけでなく、僕の目線では
吹奏楽部という小さな世界を通して
ここまで大きな世界を描けるのか
という驚きに満ちた作品で、
社会のなかで生きることの苦悩、
自分の道を探すためのさまざまな葛藤、
自分を生きる上で多くの道標が詰まった作品
だという解釈をしています。
原作の魅力、青春の価値、音楽の良さ、
映像表現、繊細な心理描写、言葉の力、、、
総合エンタメであり、アートの領域まで
昇華できていると感じる稀有な作品だと
感じましたのでアニメ含めて
この場で紹介したいなと。

↑上画像、素晴らしいですね、
最終章となる第3期のキービジュアル。
キャッチコピーとも合わさって
この2人の涙の意味も沁みます。
その意味はぜひ原作+アニメにて
ご確認をオススメします。
ちなみに原作の一巻目は
2013年12月に刊行。
ちょうどその頃、
京アニ側が、なにか京都を舞台にした
青春もののネタを探していたみたいで、
たまたま本作が目に留まったのが
全てのはじまりだと
あとがきに書いてあったような。。。
すでに前段が長いですね笑
毎度、書評ブログとうたってますが、
僕によるただの本の感想と紹介です。
もしこのブログを読んでくださる方が
手に取ることがあれば嬉しいなという
その程度のレベルのブログなのでね、
それと合わせて僕自身の備忘録でもあります。
自分が何に心が動かされたのかを
記しておきたくて。
今回は多めに語ると思いますが、
ネタバレはなるべく控えつつ
この本が読みたくなるような
表現を心がけたいと思います。

↑こちらが圧巻の14冊です。
ちょうどアニメ完結記念の
特別表紙仕様だったので、
表紙全部見せたのがこちら↓

一部スピンオフストーリーなど
映像化になっていない巻の表紙は
特別仕様になっておらず、混じってますが、
明らかに京アニキャラの表紙の10冊が
アニメ化されているということになります。
通常版の表紙絵は #アサダニッキ さんという
漫画家のイラストになります。
ライトノベル風を感じさせますが、
内容は色濃く、言語表現が多彩です。
一冊一冊がちゃんとボリュームがあって、
読み応えがしっかりとあります。
ただ、100名以上の規模の吹奏楽部なので、
さすがに部員全員までは
描き切れてはいないものの
それでも登場人物はかなり多い。
そして圧倒的女子率の高さ(男子10名もいない、、、)
なのでアニメを見てから原作を読むという流れも
かなりオススメです。僕もそうでした。
誰がどんな表情で話しているのかが
京アニのおかげで、
手に取るようにわかるほど
とてもイメージがつきやすい。
(イメージ先行がイヤな方向ではなく、
とても良い方向に働いています)
映像だと表情や指先、目線などの
身体の動きやBGM、風景描写によって
さまざまな心理状態が
表現されているのに対して、
原作だとこの瞬間、
その人物が何を考えているかが
言葉でとても繊細に表現されている
という違いがあります。
本来いろんな描写方法で
表現できるはずの映像なのに、
原作の言語表現、情景描写には及ばない
という妙がここにありまして、
著者の武田さんの言語化力の素晴らしさを
原作を読んで、目の当たりするのです。
そう、ただ原作をなぞっただけの
アニメ化にあらず!
映像では計り知れなかった
その心情の奥底を原作では
しっかりと知ることができます。
この子はどんなつもりで
そんなセリフを言ったのか、
なぜそんな行動をするのか、
原作にはとても細かく丁寧に
思春期女子同士特有の
繊細な心理描写が散りばめられています。
それをわかった上で今度はアニメを見てみれば
圧倒的な映像美で表現した京アニ作品なので、
感情移入、共感、一喜一憂、
それぞれの立場などなど、、、
その没入感たるや、とんでもないことに笑
もう登場人物たちが一人歩きしていて、
それぞれの息遣いが聞こえてくるほど、
リアルな感覚を味わえます。
京アニのおかげで
原作と映像と音楽とが見事に融合して
相互補完し合っている
完璧な作品だと僕は感じました。
しかも!!
原作にはない描写や展開、
つまりアニメオリジナル部分も
所々あって、それが全然ヘンじゃないし、
イヤな改編でもない。しっかりと馴染んでます。
最終章の一番大事な部分が
ガラッと展開が変わってたり
とんでもない衝撃もあるのですが、
そこはぜひ原作を読みつつ、
アニメも見て、ぜひご確認ください。
ここまできてももまだ前段、、、笑
ここで改めて発売順に14冊を並べますと、
1:響け!ユーフォニアム
北宇治高校吹奏楽部へようこそ
2:響け!ユーフォニアム2
北宇治高校吹奏楽部のいちばん熱い夏
3:響け!ユーフォニアム3
北宇治高校吹奏楽部、最大の危機
4:響け!ユーフォニアム
北宇治高校吹奏楽部のヒミツの話
5:響け!ユーフォニアム
立華高校マーチングバンドへようこそ 前編
6:響け!ユーフォニアム
立華高校マーチングバンドへようこそ 後編
7:響け!ユーフォニアム
北宇治高校の吹奏楽部日誌
8:響け!ユーフォニアム
北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章 前編
9:響け!ユーフォニアム
北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章 後編
10:響け!ユーフォニアム
北宇治高校吹奏楽部のホントの話
11:響け!ユーフォニアム
北宇治高校吹奏楽部、決意の最終楽章 前編
12:響け!ユーフォニアム
北宇治高校吹奏楽部、決意の最終楽章 後編
13:飛び立つ君の背を見上げる
14:響け!ユーフォニアム
北宇治高校吹奏楽部のみんなの話
14冊並べるだけでこのボリューム、、、
本作は基本的には発売順が
作中の時系列の流れになってるので、
何巻目を先に読むとか
そういう必要はありません。
順番に1巻目から読み進めればよいかと。
ここでやっと
本作のあらすじを紹介したいのですが、
一冊一冊にそれぞれあらすじがあるので、
各巻ごとに紹介すると
とんでもない量になってしまう、、、
個人的に14冊をギュッとまとめてみますね。
長めのあらすじです。
京都にある北宇治高校に入学した"黄前久美子"。
彼女は優柔不断で、周りの空気に流されやすく
押しに弱い性格。
中学時代は吹奏楽部でユーフォニアムを担当。
特にこだわりや熱量もなく、
いい思い出ばかりでもなかったので、
吹奏楽部の強豪校を目指さずに、
吹奏楽をやらずに別の高校生活を送ろうと
普通の高校に入ったつもりだったのだが、、、
その性格通りクラスメイトに流され、
本意ではないまま結局吹奏楽部に入るハメに。
するとそこには同じ中学で
同じ吹奏楽部だった、
トランペット担当"高坂麗奈"がいた。
特に友人というわけではなかったが、
実力者だった彼女がなぜこの高校に?
疑問を持ったのも束の間、
ちょうどその年に
新人の音楽教師"滝昇"がやってくる。
つまり吹奏楽部の新しい顧問。
過去には全国大会に出たこともある
北宇治高校吹奏楽部だったが、
現在ではゆるい部活になっていたところ、
滝先生による指導と、
生徒たちの自主性という名のもとに
新生・吹奏楽部は一年目にして
「全国大会金賞」を目指し、
青春を吹奏楽部に捧げることに。
先輩たちとの不和や確執が蔓延る空気のなか、
図らずも巻き込まれてしまった久美子、
同じ部員となったクラスメイト、
そして麗奈たちが見る景色とは。
吹奏楽部を通したかけがえのない高校3年間。
「なぜ部活を頑張るのか?」
「なぜユーフォニアムが好きなのか?」
「なぜ合奏が好きなのか?」
「なぜ吹奏楽部が好きなのか?」
とても一言では言い表せられない
いろんな"自分と向き合うなぜ?"が詰まった
青春の価値を見出す3年間がいまはじまる!
こんな感じでどうでしょうか?
伝わりますかね?
シリーズ全14冊が
まるっと久美子の3年間です。
1、2、3巻は一年生編。
4巻はさまざま人の視点が
綴られたスピンオフ短編集。
5、6巻もスピンオフですが、
久美子の中学時代の同級生・佐々木梓が
吹奏楽部(特にマーチングバンド)の
強豪校・立華高校に入学。
そこでのお話が描かれています。
7巻はファンブック的ポジション。
著者・武田さんのインタビューや
吹奏楽部の裏側を語ったコーナー、
久美子目線の書き下ろし短編なども収録。
8、9巻は久美子の二年生編。
10巻にも卒業後の先輩や後輩など
スピンオフ短編が挟まりまして、
11、12巻はクライマックスとなる三年生編。
13巻では久美子の一学年先輩、
中川夏紀(人気投票No.1らしい)たちの
日々を描いたスピンオフ。
最終巻となる14巻では
最後のコンクールを終えた面々たちの
その後の日々を描いた短編集。
アニメ完結記念、ファンサービスな1冊。
という流れの全14冊構成となっています。
部活ものを短編やスピンオフ交えて
がっつり3年間を14冊にわたって
描き切る小説というのは
非常に珍しいのではないでしょうか。
珍しいどころか僕の知る限り類を見ないかも。
しかも単調にならず、各巻それぞれに
しっかりとドラマがあって面白い。
登場人物が多いからこそ描ける
人間ドラマの奥深さを感じることができます。
そしてそれは今を生きる我々の人間社会と
全く同じだとも気づかされるわけです。
多くの人同士が関わり合って
何か一つの目標に向かって走ることの
難しさ、煩わしさ、葛藤、実力差、人の気持ち、
熱量、一筋縄ではいかないこと、人の入れ替わり、
先輩後輩、それぞれの立ち位置、役職、
同調圧力、空気感、主体性、どう導くか、
自分の気持ちをどこに置くか、自分の居場所、
苦手や弱点にどう折り合いをつけてどう乗り越えるか、
なんでそれをやるか、好きなこと嫌いなこと、、、
否が応でも自分と向き合わざるを得ない
あらゆる物事が、ほぼ全て描かれていて、
こんなかけがえのない3年間を
我々は過ごせていただろうか、、、と
読者自身も自分と向き合うことを
余儀なくされるはずの本だと僕は感じました。
作中は久美子の3年間ですが、
我々の人生は3年間で終わらない。
人生100年時代に自分がどう生きたいか、
大切にしているものは何なのか、
自分なりの答え、道標を掲げる必要性を
この本から学べるはずだと感じています。
相変わらずだらだらと長文が続いてますが、
このシリーズを紹介しようしようと
するあまり、断片的にあれこれと
思考を綴ってますが、伝わってますかね?
ここで著者の武田さんの文章について
少し掘り下げてみたいと思います。
もちろんこの「響け!ユーフォニアム」が
武田さんの代表作なのは間違いありませんが、
「愛されなくても別に」
「世界が青くなったら」
「花は咲く、修羅の如く(アニメ化済)」など
青春ものの作品が多い武田さん。
10代女子たちの等身大の心理描写が
心にグイグイと刺さります(僕はおじさんですが)。
僕が武田さんの文体で
大好きなところがあります。
それは、登場人物たちの視線が
言語化されているところ。
繊細な心理描写への言語化は
もちろん素晴らしいのですが、
武田さんの特徴?なのか、
その人物たちがどこを見てるのか、
視線が表現されていて、
それが性格の裏付けだったり
心理だったり、
情景とリンクしているところ。
この描写手法は
僕にとってはとても明快で気持ちよく、
そして同時に気持ち悪いという笑。
武田さんを特徴づける文体に感じます。
アニメもそこを組みとってか、
視線の情景描写はしっかりと入っています。
ただこの特徴、下手をすると、
おじさん目線になりかねないわけで。。。
大人になっていく女子の姿を
目線で表現するということは、
女子特有の曲線、膨らみ、肌の質感などなど、、、
これらがもちろん表現されているということ。
ただ、それが異性同士ではなく、
同性同士の目線なのは驚くところで、
武田さん特有なのかもしれません。
女子特有の共依存関係、
あと百合的要素を含むほどに
距離感の近い女子同士、、、
それこそいくら仲良くても
宿泊先で相部屋になったからといって
一緒に風呂には入らんだろ笑
というような描写もあり、
女子同士だって相手のことを
そういうふうに見ることもあるのね、
と変な?発見もあったり。
ネタバレに関係のない範囲で、
なにか例文を載せてみます。
「スカートの裾から伸びる
奏(久美子の後輩)の脚が、
音もなく交差する。ふくらはぎを
締めつける、真っ白なソックス。
彼女の人差し指が、思案するように
顔の輪郭を静かになぞった。」
ほんの一例ですが、どうでしょうか。
他著者の作品にはない強い特徴を感じます。
この視線元は久美子のもの。
まさに相手の動き方を目で追っている。
指先の動きだけでなく、
全身の動き方とそれに付随するパーツによって
その時の雰囲気と心情を的確に表現している例です。
ちょっとした心理の機微を
"視線を言語化"することによって
独特の緊張感だったり、
成長の過程や久美子の性格含めて、
相手の個性をも捉えた描写手法は、
他著者の作品とは異なる、
武田作品の味になっていると
このシリーズを通して感じました。
この独特かつ特徴ある文体、
もちろん武田さんだけのものでは
ないはずですが、
少なからず本を読んできた僕の目には
武田さんならではの個性として
新鮮に映りました。
なんでこんなに個性的に感じるのか、、、
おそらく作品を通して、
"視線の言語化"がごく自然に
多用化されているから
加えて、
"10代の同性同士の目線"だから
これらが合わさって
独特の輝きを放っているのかと。
「青春の価値」の一つとして
あくまでピュアに
"目は口ほどにものを言う"が
機能しているのだと考察します。
逆に
こんなことを想像してみましょう。
例えば、
「大人の人間ドラマを描いた小説があったとして、
作中に"視線の言語化"描写が多く散りばめられている」
そんな状況を想像してみてください。
大人になると、同性だろうが異性だろうが
視線を言語化した途端、
湿り気をはらんだ性的な意味合いが
どうしても強く出てきたり、
ルッキズムだったり、
腹に抱え込んださまざまな心持ちが
視線として表現されるわけで。。。
大人ならでは駆け引きというか、
決してピュアではない、
いろんな意味合いや要素とが絡み合って
間違いなく"青春"描写にはなりえないなと。
つまり大人の時点でピュアなものにできないと
気づかされるのです。
10代だからこそ許されるもの、
この先、未来に向けて成長する可能性しかない
若者たちだからこそ、
視線の言語化がとても機能するのではないでしょうか。
そんな考察でした。
まばらにこのシリーズ作品の魅力を
かいつまんで好き勝手語っております。
思いが伝わってると嬉しいのですが、、、
改めまして、
本作の魅力を簡潔に述べますと、
主人公・久美子が、
ユーフォニアムを好きになるまで。
吹奏楽部を好きになるまで。
そして
大切なものを見つけるまで。
それが青春期と重なっているから、
二度と経験できない今がある。
久美子という人物を通して、
人生の道標が立つ瞬間を
我々読者が目の当たりする、
そんな作品となっています。
こういう経験をして大人になる人は
意外と少ないと個人的には思います。
元々夢を持っていたり、優秀な人であれば別ですが、
久美子みたいな優柔不断で熱量のないタイプが
主人公だというのがかなりアツくて。
彼女が何に感化され、どう動くのか、
我々に間違いなく訴えてくるものがある。
当然辛いことも多いし、
基本的に我々は天才ではない。
大人になったからといって
スムーズに物事が
進むわけでもありません。
毎日が悩みや問い、
選択や解決の繰り返し。
でも惰性で生きる人や頑張れない人と、
前を向ける人との差には
久美子のような大切な経験を
したかどうかで分かれるような
気がするのです。
10代だけとは限りません。
10代では挫折したことも
40代でも60代で再始動したって遅くない。
何か人生に過剰な負荷がかかる瞬間と
研鑽し闘ってきた未熟な日々の数々、、、
非効率で無駄で正解のない物事と
向き合うことでしか得られない
"煌めき"が経験できたなら、
あなたの人生の道標が立つ
前触れなのかと感じます。
そしてその瞬間を、できる限り
言語化しておくに越したことはありません。
その一瞬を言葉にしないと
すぐ消えてしまうから。
それが自分を大切にするということなのかと。
それが自分自身を生きるということなのかと。
それが自分の幸福を探すということなのかと。
そんな熱量で僕は拝読しておりました。
こんなタイプも珍しいか。。。?
もはやめんどくさい?
さいごに余談です。
僕が作中の誰に共感を覚えたり、
この人の考え方いいなと感じたか、
シンクロ率を考えてみました。
シリーズを読破した人にしかわかりませんが、
読破した人であれば、性格診断というか、
何かの指標になる気がして。
僕がどういう価値観を持ってるかがわかる、、、
まぁわかったとて、なのですが。。。
僕が特に共感を覚えたのは2名、
考え方が素晴らしいと思ったのは1名です。
まず
①先輩でユーフォニアム担当・田中あすか
②久美子の同級生トランペット担当・高坂麗奈
この二人への共感は特に強かった。
ただ、この二人は正しすぎて
人に寄り添うことができないし、
人との余計なつながりはとことん苦手。
心の内に他人が土足で入ってきてほしくない。
個の力を重んじ自分の意見を主張できるタイプ。
他人に興味を持たないタイプでもあります。
(悲しいかな僕と一緒だ、、、)
そして
③久美子の同級生コントラバス担当・川島緑輝
彼女の考え方やスタンスが素晴らしい。
好奇心&研究心が強く、
好きな物事への造詣が深い。
周囲への観察眼も鋭く、バランスを取れるタイプ。
自分の機嫌を自分でとることができるタイプ。
ポジティブさで人を鼓舞する力もある。
①②に③の考え方をプラスできれば
この窮屈で複雑な社会を渡り歩く上での
一つ"最強"の人間が出来上がるのではないかと。
そういないとは思いますが、
このブログを読んで、
作品に興味を持ってくれたそこのあなた!
彼女たちがいったいどんな人物なのかは
ぜひ作中でご確認いただけたらと思います。
読者自身がそれぞれ誰に共感し、投影するのか、
自分を北宇治高校吹奏楽部の部員に当てはめてみると、
それは案外、そのまま社会の縮図なんてことも
あるのではないでしょうか。
逆に、こうありたい&こうなりたいから、
○○のように動いてみる、
みたいな参考にもなりうるかと。
その楽しみ方、無限大!!
そんな「響け!ユーフォニアム」
シリーズでございました。
ここで一つ
肝心なことを失念しておりました、、、
本作は吹奏楽が主テーマの作品だということに!
楽器や音楽についても
当然触れなきゃならんところですが、
ごめんなさい、
僕に楽器や音楽を語る引き出しがなく、、、
そこに関しては
どこかで本作の魅力を語っている方は
少なからず必ずいるはずなので、
このシリーズを通した
楽器や音楽を切り口にした
考察ブログやYouTubeなどを
探してみてくださいませ。
長かった今回のブログ、
そろそろ締めたいと思います。
ここまでお付き合いいただきまして、
誠にありがとうございました。
結局何が言いたかったんだ?みたいな
ブログになってしまった気がしてますが、
「とにかくこの作品がオモシロいんだ!」と
言っているだけなんだと
それだけ伝わっていたなら幸いです笑
当店では、まず貸出用として
シリーズ全14冊を扱っております。
店内在庫に置くことも考えたのですが、
どうしても手狭なスペース上、
14冊分はなかなか圧迫するので
ご注文なら承ります、といったスタンスで
対応しようと思っています。
まずは試し読みからでも、
そしてアニメからでも、
ぜひオススメしたい作品です。
長々と語りましたが、
結局どう感じ、
どこに魅力を見出すのかは
あなた次第です。
それでも
単純に「ヤバイ、面白かった〜」だけでは
非常に勿体無い作品でもありますので、
そこは
噛み締めて愉しんでいただけますと、
このブログが報われます笑
アニメを見たなら、
バイクで聖地巡礼なんかもオススメですし、
音楽に留まらず、
それこそ「バイクの免許を取ろう!」とか、
何か新しいことや真剣に向き合いたいことを
探すきっかけにもなりうる
さまざまな感情が詰まった作品ですので、
見て損はなし!と勝手ながら太鼓判を押せます。
ということで
今回は「響け!ユーフォニアム」シリーズを
紹介させて頂きました。
小説、映像、音楽、と全方位に
エンタメ性とアート性を感じる
総合芸術と言える本作。
ぜひ拝読&鑑賞いただけますと幸いです。
今回はこの辺で。
超長文読んで頂き、ありがとうございました。
(結局約9,500文字となりました!)