本コバブログ:とはずがたり「2024年締。今年も1年間ありがとうございました。」
「本と、珈琲と、ときどきバイク。」の
店主がお送りするブログ。
略して“本コバブログ”。
今年も年の締めくくりに
2024年一年間の感謝を込めて
このブログを綴りたいと思います。
先月の「3周年記念ブログ」にて
一年間の総括はほぼ綴りまして、
そこからこの1〜2ヶ月間での
新たな出来事といえば
#静岡書店大賞 の一つのみ。
12/3付インスタの方で簡単に
感想綴ってますのでよければ覗いてみてね。
そんな感じで今回は
雑多な内容を入れつつ
ご挨拶をさせていただこうかと。
つい長文になりがちな毎度のブログ、、、
なるべくカンタンに、、、カンタンに、、、
温かい目でお付き合いください笑
そして
今年は僕自身が
あまり本を読めなかったので
「僕が選ぶ今年の本10選」は
ご紹介できませんで、、、その代わり!
僕が今年読んだ狭いなかでの
2024年ベスト1冊を
紹介させていただきます。
よろしくどうぞ〜。
まずは、
今年も一年間、当店をご利用ご来店
誠にありがとうございました。
遠方から通販をご利用の皆様にも
心より感謝申し上げます。
来年からは新営業体制となり
より小さな営業に変更となりますが
引き続き、変わらぬご愛顧のほど
よろしくお願い申し上げます。
土日限定営業スタイルに変わるので、
毎月の本の入れ替わりが
よりゆっくりな運営となります。
ご注文は変わらず承りますので
店頭でもSNSのDMでもお気軽にどうぞ。
来年からは心機一転
本棚を整理し直して
2025年の一年間をかけて
じっくりコトコト耕して煮込んで
熟成させていこうと考えています。
週末のみの営業となり
一部扱いを止める雑誌もありますが、
基本的には何も変わらず雑誌もコミックも
引き続き扱っていきますので。
そちらのご注文も引き続き変わらず承ります。
こうして3年間立ち続けて、
本から、ご来店のお客さんから、
さまざまな価値観や考え方を吸収し、
なるべく自分の言葉で思考し、
この小さな本屋から日々を見つめ、
アップデートしてきました。
僕自身の考え方、お客さんの趣向、
バイクの捉え方、バイクの魅力、
バイクの在り方、理想のバイク社会、
社会の捉え方、現代のモヤモヤ、
本の魅力、言葉の魅力、美しい物事、
大切なものはどこに宿るのか、、、
いろんな価値観に触れ、思考していくなかで、
当店の本の動き方を主観と客観、俯瞰と細部を
上下左右、縦横無尽に眺めていると、
当店の傾向が少しずつ見えてきました。
もちろん伸びしろや未知数もあるし
足りてないところも当然ながらあります。
開業当時と比べると、選書の改善点に
気づくことが多々ありましてね。
選書のコンセプトこそ変わらずに
来年からの新体制に伴い、
改めて選書を見直してみようと考えています。
約1500冊を扱う
当店のラインナップの考え方は以下2軸。
「当店の意思を入れた選書」つまり
「その先にバイクと繋がる可能性を見据えた選書」
と
「当店の意思を入れない選書」つまり
「本屋として大事な何かに触れられる選書」
の
2本軸で大きく分けられます。
もちろん根元ではつながっていますし、
「全てがバイクと繋がっている選書」と
言っても差し支えないんですが、
各本を深くまで掘り下げないと
伝わりにくいところもあるので、
表面的にはこの2本軸がベース。
だいたい半々くらいの割合で
当店は構成されています。
そのなかで
・毎月の雑誌&バックナンバー(1割)
・自信を持って売りたい新刊(0.5割)
・狙い通り売れる既刊(0.5割)
・大切な物事が描かれた常備したい新刊既刊(0.5割)
・マニアックだし売れないけど大事な本(0.5割)
ざっくり内訳ですが、ラインナップ全体の3割を占める
この5点のアンテナは引き続き扱いながらも
今回見直したいのは
・マニアックすぎて当店では需要が少ない本(1割)
・難解&尖りすぎて自分事に変換しにくい本(1割)
・画集、写真集、資料集(1割)
この3点です。
僕自身は面白そうと思っても
当店のお客さんの趣向から想像するに、
そこまで攻めたものだったり、
高価だったり、難易度が高かったりして
手に取られにくい傾向があるぞと
見えてきた傾向の本たち。
それでも置いてあると、
たま〜〜〜に売れる可能性もあるのですが、
それがいつくるかは全く予測不可能でして、
ただでさえ狭いスペースなのでね、
改めて見直してもいい本の類。
この3点だけで全体の3割も占めているので
1割くらいに絞ってもよかろうと。
ちなみに
全体残りの4割は、日々の選書のなかで、
入荷しては売れたり売れなかったりを繰り返す、
当店のコンセプトに則った、感性を磨け、
豊かな読書体験となれる風通しの良本たちです。
そして
今回の整理予定で2割分のスペースが
新しく確保できたなら、
小説を増やすのか、エッセイを増やすのか、
はたまたコミックか、雑学のシリーズを入れてみるか、、、
手厚くしたいジャンルを改めて塾考できるわけで、
扱わない本の方向を決めることで、扱うべき本の
選択肢がいろいろと増えるはずという算段でございます。
あともう1点、
本屋の減少はとどまることを知らず、
かたや個人書店は少しずつ増加傾向。
本が売れない時代のなかで、
毎年の新刊が出る冊数は約70000冊。
日割だと約200冊にもおよびます!
刊行数は依然と多いまま。
同じテーマを扱う本であっても
それぞれ各出版社から出ていたりして
重複も多い。日々の選書では迷うことも多いです。
そして当店が扱うのはそのたった2%に過ぎません。
ここで僕の選書の見方を一つ。
本のあらすじを把握するのは大前提としても、
大きく以下の2点の見方を来年からは
より一層重要視しようかと。
①.装丁
②.本棚での佇まい
僕はこの2点でもって当店で扱いたいと思う
"本の価値"を見極めようとしています。
2025年から選書眼をより厳しくするにあたり、
まずは「本の内容」に加えて
①と②の見方を合わせていく考えでおります。
開業して3年間、試行錯誤しながらの
選書でしたので、甘いものを食べたら
しょっぱいものも食べたくなるし、
その時々の僕自身の心理状況にも左右されるので、
雑多な選書になることも多くなってきたなと
自分自身でも感じてきたところ。
世間の人気作を入れても売れるわけではないし、
僕の狙い通りの本が売れるわけでもない、
こだわりすぎても売れないものは売れないし、
大衆にわかりやすければ売れるわけでもない、、、
じゃあどうすんの?って話で
そのさじ加減やバランスはとっても難しいのです。
今回のこの選書整理のタイミングで
ピリっと一発"緊張感"を
注入しようかと考えるに至っています。
価格の高低差はもちろんあるし、
新書は各出版社決まったカタチだし、
基本的に面白い本はこの2点の見方をしたとて
計り切れるものではありません。
でも3坪程度の当店なら、
そうやって縛りを設けて一層厳選し絞ることで、
独特の"品格"が出てくるのではないか。
どれだけ面白そうな本や
魅力的な内容の本だとしても
第一印象である①や②の要素が欠けていれば
扱わないとまず決めること。
本だって決して安くはない買い物なわけで
お客さんの自宅の本棚に収めたときに
"品"を保ってて欲しい。つまり
本棚に置いておきたくなる本であるかどうか。
広いスペースを保有していれば別ですが、
狭いスペースの中での本棚だと思いますので、
その本固有の"佇まい"はとても大事だと考えます。
読み手だけでなく、作り手側や売る側も
緊張感が必要なのではないか。
個人書店も増えてきたと同時に
誰でも簡単に出版もできる時代です。
ZINEもかなり増えてきました。
なら尚のこと、
せっかくお金をかけてつくるなら
丁寧なもの、品の良いものを、
ちゃんとそう見えるように上品に仕立てること。
真面目に作ることが正解でもないし、
ポップやキャッチーに作ることも
アーティスティックに作ることも
正解とは限らない。
その本の内容や世界観が
適切に表現できている状態こそが"デザイン"。
主観(僕の好き嫌い)だって大きく入ってくる。
つまりとても難しいことだと思うのです。
そうすることで
自ずとラインナップが絞りやすくなるはず。
僕はこの"デザイン"の視点を選書の見方に取り入れて、
お店としては間口を広くフランクにお迎えしますが、
扱っていく本はよりシビアに見ていくスタンス。
厳選された選書が結果的に「敷居が高い店」として
認知されてしまうところもあるので、
おのずとお客さんは絞られていくんだろうなとも。
誰でも来て欲しいと言いつつ、
お客さんを絞っていくような店に
仕立てようとするというね、、、
なんて矛盾をはらんだ店なんだ笑
そんな話でした。
来年からまた、
年始は少なめからはじめて
少しずつ育っていく予定の
本棚ラインナップを引き続きお楽しみに♪
続いてのトピックスは
「僕の選ぶ2024年ベスト1冊!」
こちらをご紹介したいと思います。
あくまで僕が今年読んだ
数少ない新刊のなかでですが、
バツグンに刺さった本がありました。
なんといってもこの一冊↓
2024年7月24日発売
「たぶん私たち一生最強」です!!
著者・小林早代子さんは
僕も初読の作家でして、
R18文学賞受賞作
「くたばれ地下アイドル」から
二作目となったのが今作。
テーマは「女性の自立」。
男性と比べて、女性の方が
結婚、出産、仕事など、
賞味期限付の選択を迫られることが
多いことへのモヤモヤや、それに加えて、
男性に寄りかかることでしか
自分の幸せって掴めないのでは?という
固定観念を根本からぶち壊し、
切れ味鋭く、力強いメッセージが込められた
新しい考え方を提示する一冊。
まずあらすじどうぞ。
最弱な夜にひらめいた、
最強になれる選択肢。
全員揃えばいつだって
バイブス最高の女四人が
泣きたい夜にひらめいた
「一生最強」の人生とは!?
圧倒的切れ味で紡がれる、
自由と決断と自立の物語。
「もうさー女友達と
一生暮らしたいんだよね最近は!?」
酔って叫んだひと言が、
4人の運命を変えていく、
エンドレスガールズトーク小説、爆誕。
このあらすじはざっくりしてますので
もう少し掘り下げます。
主人公は親友同士の女性4人。
ある日のひと言を皮切りに
4人の共同生活がはじまる。
そこに込められた意思や
4人それぞれの抱える事情が
4人の目線で綴られ、
次第に浮き彫りになっていく
4人による不思議な暮らしの輪郭。
女性の生き方について
社会に対するモヤモヤ、
常識に対するモヤモヤ、
性に対するモヤモヤ、
多様性に対するモヤモヤ、
自立に対するモヤモヤ、
あらゆるモヤモヤから
全て解放してくれる、
「その生き方があったか!」
と思わせてくれ、
「男の優位性」について
全くの無知かつ考えたこともない
鈍感な男性にも"喝"を
入れられること間違いなし!
本気も本気、大真面目の
女性版スーパーサイヤ人みたいな小説。
ガチガチに凝り固まった
日本の価値観を自分の足で
踏みつけて踊り狂える一冊!
ネタバレなしで
僕の言葉ではこう表現してみました。
僕は発売前から拝読させて頂いてまして、
女性も男性も気づきがかなり多いはずと
瞬時に思いましたし、
間違いなく万人にぜひオススメしたいなと。
これ読んで「何も思わないはずはない!」と
脳がグチャグチャに揉みほぐされるほど、
今年最も刺激的かつワクワクした
読書体験となった本です!
もし昨年刊行されていたら
本屋大賞受賞作「成瀬と天下を取りにいく」
よりも推したい&推すべき
力強い一冊に感じました。
余談ですが、
別の本に書いてあった、
「男性は女性を少し下に見たくて、
女性は男性を少し上に見たい」
男女とは根本的にそんな生き物なんだ
という描写を思い出しました。
これは一つの真理を突いているなと
思ったと同時に、
「たぶん私たち一生最強」を読んだことで
そこから抗うというか、
もう時代は変わらなきゃいけないとも
強く思うようになりました。
男性は女性をもっとリスペクトせんかい!
もっと丁寧に扱わんかい!!とも思うし、
男性はもろもろ雑すぎて、
他者への想像力が不足しがち。
もっと生活や暮らしに目を向けんかい!!とも。
そして
女性はもっと向上心を持たんかい!というか
弱者のまま仕方ないと諦め、
どこか一歩下がる癖をやめんかい!!
社会からの自立を強く謳うというか
堂々と立たんかい!とも思います。
男性に寄りかかるだけの人生ではなく、
踏み台にするくらいの
気概と勇気は欲しいところ。
ギャルのマインドを心に宿すみたいな?
そして、
強く生きたい&生きようとする女性に
もっとバイクに乗って欲しい。
というのはさらに個人的な思いです。
今回紹介した
「たぶん私たち一生最強」という
今年読めた数少ない本のなかの
たった一冊の本にも関わらず
ここまで強い思いを抱くとは!
とても素敵で強烈かつ新鮮な価値観に
触れることができたのはとても幸せでした。
超オススメな一冊。
これから時代を作っていく世代の男女こそ、
この本を読んで欲しいし、
男性は丁寧かつ優しい大きな器と教養。
女性は向上心と好奇心と教養。
そして
男女ともに自分で考える力と自立心。
これらの感性の必要性&重要性に
たった一冊の本から、
気づかされるところが多々あります。
そんな"何か"に気づいた男女にこそ
僕は心からバイクをオススメしたい。
本当にカラダの芯から
熱くなれる一冊だと思いました。
最後に
作中の琴線に触れた文章を一つ
ご紹介して締めたいと思います。
「東京在住二十六歳大卒の四人には選択肢が
ありすぎて、心もとないほど自由だった。
何を選んだって構わないはずなのに、
いちばん大勢の人が乗ってて声がでかい
『男と結婚して出産』ってプランが
ベタに幸せっぽいせいで迷うし苛立つ。
女友達と暮らす人生!ってパッケージが
Amazonで売ってて、★5のレビューが
百万件ついてたら安心できるのだろうか。
幸せっぽさ、ぽさ、ぽさ。ぽさこそ全て。
私たちには幸せと幸せっぽいものの
区別がつかない。」
心から素晴らしい文章だと思いました。
結局なんだかんだ
毎度熱く語ってしまうこのブログ。
そろそろ締めさせていただきますね。
改めまして、
お客さまをはじめ、他書店さま、
出版流通等関係者の皆さま、
今年も大変お世話になりました。
近所遠方問わず日本全国から
いつもありがとうございます。
新営業体制となる2025年も
この小さな場所を守り続け、
社会に対して、
日本のバイク文化に対して、
正しいとか間違ってるとかではなく、
「美しい・カッコいい・強さって何だろう?」
というモヤモヤに対して
自分の言葉を発信し続け、
本屋として立ち続けますので、
引き続き、ご利用ご来店ご愛顧のほど、
よろしくお願い申し上げます。
今回もこのような雑多な長文を
お読み頂き、重ねてありがとうございました。
それではよいお年をお過ごし下さい☆