本コバブログ:書評「コスメの王様」を読んで

「本と、珈琲と、ときどきバイク。」の
店主がお送りするブログ。
略して“本コバブログ”。

今回は高殿円さんの新刊
「コスメの王様」を読んで
感想などを綴りたいと思います。
ネタバレなしで、
表面的になりすぎず語りすぎず、
ちょうどよいバランスを狙って、
この本が読みたくなるような
表現を心がけます。

恥ずかしながら、
僕は高殿さん作品初読。
3/15発売の新刊です。

いやぁ〜素晴らしい小説でした!

まるで朝ドラや大河ドラマを
観ているかのようで、
人間ドラマでもあり、
恋愛ものでもあり、
ビジネス書でもあり、
自己啓発本でもあり、、、
あらゆるカテゴリがミックスされた
なかなか一言では表現できない
壮大なドラマと出合い、
とても味わい深い
読書体験ができました。

この梅雨時期、
お客さんが激少だったので、
本でも読もうと、積読からこの本を
手に取ってしまったのがはじまり。

ページをめくる手が止まらないんです。
案の定、お客さんも全然来ないんです。
ページをめくる手が止まらないんです。
待てど、お客さんは全然来ないんです。
ページをめくる手が止まらないんです。
やはり、お客さん全く来ませんでした。
気づけば最後のページでした。

そこには雨音を聴きながら、
店番を忘れて読書に没頭する
店主が一人佇むのみ。
いつのまにか頭の中に
お花畑が咲いていました。

「よし行けー!」
「行かへんのかーい!」
「キュン死にするー!」
「ええ男や、、、泣」
「ええ女や、、、泣」
「せつねぇ、、、泣」
「生きるって辛いなぁ」
「生きてるだけでボロ儲けや」
「毎日が吉日と思える生き方素敵やわぁ」

まるで野球中継を見ている
酔っぱらいオヤジのごとく
熱くなったり、
シュンとしたり、
ホント一喜一憂させられる
感情移入度が魅力の今作。

果たして報われたのかどうか、、、
名言はしにくいものの、
そんなことより

「酸いも甘いも経験して
必死に生きたその先、
今まで築いてきた足跡は
裏切らんってことやな。」

と読後しみじみ。

人との繋がり、温かさ、
絆を重んじた、人情味溢れる小説。
僕の大好きな作家・高田郁さんの
作品とも通ずるものがある
気がしましたね。

間違いなく
今年読んだ新刊の中で、
トップクラスに入ります!

前段長くなりましたが、
まずはあらすじご紹介。


「ほんまに、きみが愛おし!」
時は明治の世。秀才ながらも、
山口の家族を支えるため

進学をあきらめ、
単身神戸に出てきた少年・利一。
牛より安い値段で花街に

売られてきた少女・ハナ。
神戸の花隈での二人の出会いは、
やがて日本の生活をも一変させる

発明、大ヒット商品誕生へと
つながっていく。
そして、幼い日に誓い合った

約束の行方は?
産経新聞連載時から大反響! 
明治・大正・昭和の激動期を、
「真心」の製品作りと

斬新な宣伝手法を
武器に乗り切り、

大阪で100年を超える会社を
創業した“東洋の化粧品王”と

呼ばれた男の一代記!
(出版社サイトより引用)


このあらすじからは
さほど人情味は感じませんね。
男の一代サクセスストーリーかな?
と感じる程度。
ところが開けてびっくりの
濃厚な内容に舌鼓♪
物語の題材が化粧品だからだけでなく、
その一喜一憂の人間ドラマに
肌がツヤツヤになる気がします。
ホント若返りますよ、この小説。
我々に失った感情が潤います。

僕からもあらすじをまとめてみますと、


1900年代前半〜戦後にかけて
生きたある男女の半生記。
男は家族を支えるため、
山口から神戸に出てきた少年・利一。
一家が破産し、神戸の花街に
売られてきた少女・ハナ。
この二人の出会いを通して描かれる
男女の人間ドラマ。
利一は学がないものの、
持ち前の行動力で

立身出世への道に邁進。
ハナは女として強く生きるも
芸妓の道からは逃れられない日々。

お互い支え合いながら、
日々を楽しく過ごす。
ある時、
利一はハナのような芸妓を生業とする
女性たちからヒントを得て、
化粧品の開発と販売事業を始めるも、、、
前途多難、ハナの支え、戦争、激動の時代に
利一は、信念である「真心」を第一に
歩んだ先に掴んだものとは?
何を大切に生きるかを考えさせられる
人と人との絆の物語。



こんな感じでしょうか。
読みたくなるでしょうか。
僕としてはもう一押し
足りない気がしますが、
これ以上はネタバレに
繋がりかねないので、
ここまでが絶妙な
バランスなのかもしれません。

主人公たちが一体何を大切にして、
何に気づき、何を選択し、
何を経験し、何を捨てたことで、
強く逞しく生きたか。
そして
掴めたものは何だったのか、
逆に掴めなかったものは何だったのか、、、

とても読みやすく愉しみやすい
エンターテインメント小説ですが、
人の生涯を疑似体験することで、
なにか哲学的な、
生きる道標みたいなものを
感じることのできる、
現代社会で疲れた心を癒してくれる
サプリ的な小説とも捉えられます。

途中、NHKの有名番組
「プロジェクトX」とか
「プロフェッショナル」的な
要素も感じましたね。
自己啓発やビジネス視点でも
愉しめる一冊。

前回の書評ブログでは
「タラント」を紹介しましたが、
こちらは文学的要素が入った
エンターテインメント小説。
その圧倒的な表現力に
自らの思考を重ねながら
読み進めていく感じでした。
対して、
今回の「コスメの王様」は
明らかにエンタメ寄り小説。
一本の軸があり、とても読み易く、
その表現力を味わうというよりも、
活字を通して、一つのドラマを
脳内映像で追うという、
読者に寄り添ってくれる感じ。
とてもイメージが掴みやすい物語。
が故に共感も呼びやすい。
多くの方の心に響く小説かと思います。


でもあまり表面的に
この物語を捉えないでほしい
という僕のエゴもあります。
どう読もうがどう感じようが
皆さんの自由ではありますが、
ただ「良かったね〜」とか
「オモロかったね〜」とか
「めでたしめでたし」で
終わらせるには勿体無い。

注目して頂きたいのは、
やはり彼らが
「何を大切にして」
生きたのかを
言語化している点。
それに自問自答してほしいのです。
あなた自身が、この現代社会で
生きる上での大義名分はありますか?

この問いに答えられる人が
どのくらいいるのだろう?

どれだけ時代が進んでも、
技術が革新されても、
失ってはいけない人間らしさや
人間としての豊かさみたいなものが
僕はこの小説には感じられるのです。
そして現代に足りてないものも
この物語には散りばめられていると
ところどころ感じます。

そこを掬い上げられる方にこそ
僕はこの小説をオススメしたいなぁと
正直思いました。(勝手ながら)
もちろん小説普段読まない人にとっても
十分に愉しめますし、
皆に開かれた魅力的な物語なのは
間違いありません。

また無駄に熱く
長くなってしまいました。
結局は皆に読んでもらいたい
素晴らしい小説に今回出合いました。
という話です。
ぜひ「コスメの王様」お試しあれ!

今回はこの辺で。
読んで頂き、ありがとうございました。

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